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花子くんは頑なに自分の話はいいと言い続けた。それでも私は諦めず、花子くんに食い下がった。
だって気になるじゃん、ねぇ。これでもし、ケーキとかクッキーとかドーナツとか、とにかくその辺のものが好きとか言われたら……私…………死ぬかもしれない。可愛すぎて。
「も〜……仕方ないなぁ……」
あまりに私がしつこいため、花子くんは諦めたらしい。さぁ、来るぞ……私の生死を決める、花子くんの好物……!
「……が好き」
「え? なんですか?」
「ドーナツ……が、好き」
「ぽぅ……」
ドッカーーーン。私の脳内は爆発した。どストライク。ありがとう。ありがとう花子くん。ありがとう世界。フラグ回収お疲れ様です。私は無事に尊死しました。
「今日も推しが尊い……」
私はそっと花子くんに向かって手を合わせる。
「え、な、なに?」
「あいや、なんでもないです。どんなドーナツが好きなんですか?」
これは推しのことを知るチャンスだ。ここで私が尊さに負けて暴走してしまえば、いつものように花子くんに引かれてこの会話は終わってしまう。私はなんとか平静を装った。
「えっと、手作りの……チョコとか付いてないやつ……ハズカシ……」
「ぐぅ……」
少しだけ頬を赤らめて言う花子くんがあまりにも可愛すぎる。私は手で口を覆っていたが、それでは抑えきれなかった分が唸りとなって出ていった。それでも私はあくまで平常心を保つ。
「オールドファッションみたいなやつですね。わかります! あれ美味しいですもんね〜!」
「……うん」
花子くんは嬉しそうに頷いた。本当に可愛い。可愛い。あぁ、しんどい。なんで嬉しそうなの……? 無理しんどい……。
「それにしても、好きな食べ物の話してたら食べたくなっちゃいますね」
「確かに」
花子くんはうんうんと頷く。
「こうなったらもうあの人の所に行くしかないですねぇ」
私がニヤリと笑うと、花子くんは私が何を企んでいるのか気付いたのか、私と同じようにその薄い唇に弧を描いた。花子くんは元気よく声を上げる。
「よっし、それじゃあしゅっぱーつ!」
「おー!!」
向かうは土籠先生のいる境界。
それで思ってしまった。
あーあ、楽しいな。
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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時