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私は目を開ける。そこにはもう黒い影はおらず、いつの間にか黒いマントを翻した花子くんが立っていた。その手にはキラリと刃先を光らせた包丁が握られていた。


「は、なこ……くん……」

「うん、花子くんだよー」


花子くんはにぱっと笑った。あまりにもその笑顔で安心してしまって、涙が溢れてきた。私はへなへなと座り込む。


「あ、う……花子くん……花子くん……」

止めようとすればするほど涙は溢れてくる。


「はいはい、怖かったね」


花子くんは私を抱き締め、頭を撫でた。それに一瞬ドキリとしたが、今はそれどころではなかった。


「うん……怖かった……」

「ヨシヨシ。でも着いて行かなかったのは偉いね。(ミョウジ)ってば急に飛び出して行っちゃうんだもん。どうせ土籠のとこにでも行ってたんだろうから安全だと思ってたけど、まさか帰ってくる短時間の間に襲われるなんてね」

「……ごめんなさい」


花子くんは体を離した。

「目を離した俺も悪かったよ。ごめん(ミョウジ)。でも、これに懲りたらむやみに俺から離れないこと。敵は源少年だけじゃないんだから。わかった?」


私は頷く。それを確認した花子くんはまた頭を撫でてくれた。なんだかそれが嬉しくて、思わず笑ってしまう。

「ふふっ」

ふと、視界の隅に見慣れない丸いものが落ちているのが映った。


「花子くん、あれは……?」

「ん? あぁ、これ? これはさっき(ミョウジ)を襲おうとした黒い影の正体」

花子くんはそれを拾い上げる。すると、その丸い物体からぴょこっと耳のようなものが立った。同時に淡白な顔も顕になった。


「……猫?」

「こいつは“ものまねこ”。色んな物とか人に変化することが出来る怪異で、その人間が一番油断するものに化けて近付くんだ」

「へぇ……ものまねこ……」


花子くんが持つその物体を指でつつくと、それは嫌そうに目を細めた。案外可愛いかもしれない。


「でも、普段はこんなに凶暴な怪異じゃないんだけどな……」

「え? 何か言いました?」

「いいや、何でもない」


花子くんはぱっと手を離してねこを解放する。ねこはすぐさま逃げて行った。

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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時

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