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12. ページ32

「おねーさん!」


後ろから少年の声が聞こえた。私は振り返る。そこには、花子くんよりも背の低い黒髪の男の子が立っていた。その少年の人形のような容姿に、私の顔は一瞬で緩んでいったと思う。

少年は私の元へ駆け寄ってくる。私は屈んで、少年を見上げる体勢になる。


「あれ、君ひとり?」

「うん、そーだよ。おねーさんこそこんな所で何してるの?」

「私は……ちょっと、ね」


そこで私はやっと違和感に気付いた。何故こんな小さな男の子が深夜の学校にいるのか。何故この少年は私のことが見えているのか。もっと早くに気付ければよかったんだ。


「そうだ! おねーさん、よかったら僕と遊ばない?」


笑顔で言う少年に恐怖を感じた。


「ご、ごめんね、私もう行かなきゃ」


私は思わず逃げ出した。しかし、少年に物凄い力で腕を掴まれてしまう。


「どこ行くの? 一緒に遊ぼうよ」

「あ……やめて……離して」


少年は私の腕をぐっと引っ張り、顔を近付けた。少年は見れば見るほど可愛らしい顔付きをしていて、それがまた私を戦慄させる。


「ふーん、じゃあいいや」


少年の顔がぐにゃりと歪んだ。

「ひっ……」


そして、気付けば少年はもう人の形をしておらず、うぞうぞと黒い影のようなものに変化していく。次第に大きくなっていき、すでに見上げるほどだった。


「や、やだ……だれか……」


ぐわっと黒い影が迫ってきた。私は思わず目を瞑る。また死んだな、と思った。

しかし、痛みは一向にやってこなかった。


「も〜、(ミョウジ)ってば可愛い男の子だからってすぐ油断するんだから」


「え……?」

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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時

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