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「待ってください!」
「なっ、俺はもう何もしねぇぞ……」
「やっぱり気付いてるんじゃないですか! お願いします! 私の事知ってるんですよね! 私の好きな物も全部! 先生この書庫の管理人なんですもんね! だから逃げようとしたんですよね!」
「お前こそ分かってんなら勘弁してくれ……」
去ろうとする先生に私は必死にしがみつく。
「嫌です! ちょっとだけ! お願いしますよぉ! ね゛ぇ゛!!」
私があまりに必死だったためか、横から花子くんが助け舟を出してくれた。
「土籠、俺はよく分からないけど、(ミョウジ)のお願い叶えてやってくれない? 俺、(ミョウジ)の未練を晴らして成仏させてあげなきゃなんだよね」
「……アンタが言うなら仕方ない。でも」
「でも?」
先生は息を一つ吐いた。
「その言葉、後悔しても知りませんからね」
「後悔……?」
「んで、俺は何すりゃあいい?」
先生は言った。
「いいんですか!? やったぁ!!」
私は先生に要求を耳打ちする。
「はぁ……またそんなことを……じゃあいきますね、七番サマ」
「ん、え? なんで俺?」
先生は一人全く状況を掴めていない花子くんに歩み寄っていく。何か良からぬ事が起こることを察した花子くんは後ずさりする。私の期待値は最高潮だった。
「ちょ、土籠? こんなことやめよ?」
「アンタが願いを叶えてやれって言ったんですよ」
「そうは言ったけど、これはちょっと」
そう言っている間に花子くんは本棚に押しやられていた。そして、先生はさっきとは違って優しく手を付き、花子くんに顔を近付ける。花子くんは何をされると思ったのか、キュッと目を瞑った。先生はそんな花子くんの耳にフッと息を吹きかけた。花子くんはビクッと肩を跳ね上げる。可愛い声と共に。
「ひっ!」
花子くんは恥ずかしそうに耳を抑えた。
「土籠、お前……」
「だから言ったじゃないですか、後悔しますよって」
先生の言ったことは正しかった。だから花子くんは先生を怒れない。つまり、怒りの矛先を向けるべきは私だった。
「(ミョウジ)?」
「はい何でしょう! 大変いいものを見せて頂きました! ありがとう!」
「感想なんて聞いてないんだけど?」
花子くんは物凄く怒っていた。
「慎めって言ったよね?」
「……で、でも私は触ってない……」
「ん?」
花子くんはまたキラン、と包丁の刃を見せた。
「なんでもないですぅぅ!!」
それから、花子くんは数日間口をきいてくれなかった。
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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時