もう、誰かを傷つけるのは嫌だ。だから、声を、捨てる。

なくなった声17 ページ17

一松って呼んでくれて、嬉しかったよ。
相棒になってくれてありがとう。

ねぇ、十四松は勘違いしてるだけなんだよ。

十四松は僕なんかがいなくてもしっかりしてるよ。

僕、以外にも兄はいるんだよ。

悩みを全部ぶちまけてもいいんだよ。

きっと、ううん、絶対、皆耳を傾けてくれるから。

そんな沢山の想いをこめて泣きじゃくる十四松の背中をなで続けた


十四「っ、あぁ、や、だよ。にー、さん。一松、に、さん。うっ、あ"ぁ」



あぁ、やっぱり十四松は気づいているのだろう。
僕が近いうちにいなくなることを。

その涙はあまりにも綺麗すぎて僕には釣り合わないんだ。

そんな綺麗なものを僕のために流さないで。

どうか、どうか、笑って。太陽のように笑う
お前を焼き付けておきたい。

寂しくなっても、お前の笑顔を思い出せば頑張れる気がするんだ。


その笑顔に皆数えきれないほど救われた。
僕も、何度も何度も救われた。

感情を見せるのは懐かしくって嬉しいけど、それは僕に見せるべきではないよ。

ほかの兄の方がいい。トッティでもいいけど、きっと兄としての威厳があるだろうし。

だから、今、泣いている十四松の顔を笑顔にかえたくて抱きついている十四松を剥がして、指でぐいっと口の両端をあげた



そうしたら、僕の意志が伝わったのか泣きながら精一杯、笑っていた



そして僕も釣られて笑った

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