【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。[完結]

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｢ごめん、嘘だ。オレがカバーする｣





ほんの少しだけ進んだ辺りか、少し張った声が後ろから聞こえてまた私は振り返った



さっきの声の可愛い彼がなんとも言えない表情で私を見ていた




カバー……ってなに？





｢助けてくれるんですか？｣



｢何助ければいいの｣



｢本当に助けてくれるんですか!?｣



｢あー…やぁ……｣




喜んでUターンだ
進んでしまった彼との距離をまたさっきの元通りにして私は少し引き気味の彼を見上げた





｢オレに出来るか分からないけど｣



｢時間は大丈夫なんですか？この後予定とかは？｣



｢よくないけど……こっちのがいいじゃん。大丈夫のじゃないんでしょ？｣




｢はい、大丈夫じゃないんです。
私、ここに行きたいんです。でも韓国語なんにも読めなくて検索も出来なくて、分かりますか？｣






私はスマホの画面を彼に見せると彼は私のスマホを受け取ってくれた

彼は直ぐに自分のスマホを出すと何やら打ち込んであやぁ……、と不安になる声をもらした





｢全然遠いけど……これ｣



｢どうやったら行けますか？｣



｢기차。なに、これ日本語。オレ知らね
train、分かる？｣





……英語？

いや、え？何語？
聞き取れないんですけども



分からないまま瞬きばかりしてると翻訳アプリを使ってくれたのか、携帯から無機質な『でんしゃ』という言葉が聞こえた




｢あ、電車！トレイン！分かる、分かります！｣



｢そう、電車か。で……まって、これ難しいけど
場所教えるの、オレ無理だ｣





んな！
完全に言語の壁というものが私の前に見えた気がした

そしてきっと彼にも見えていることだろう



｢何とか頑張って聞き取りますから、説明お願いできませんか｣



｢いや、無理だ。意味わかんね｣



｢分かる部分だけでも｣



｢オレこれ無理。待って、teammate呼ぶから｣



｢ちー、チームメイトって言いました？そこまでさせるの……｣





……悪いけど、正直ありがたい

そのチームメイトやらは日本語が上手い韓国人なのか、ただの彼の友達なのか
もしかしたらもしかしたらで日本人なのか





もう私は大人しく黙って韓国語で電話する彼を見ているだけにした


お礼はきちんと……させていただきます

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