【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。[完結]

1-5 ページ21

.






｢オレもなんかする｣




他人の料理中にじっと出来ないタイプなんだろうか
昼と同じくsellyさんは台所にやってきた


でももうほとんど終わっている
肉は整形したし、焼くだけだ




｢そうですね……何かあるかな｣



｢待って｣



｢はい？｣




急にsellyさんと目が合わなくなって、そして何故か私の方へ慌てたように駆け寄る


私は驚いて後ずさりをするけど火にかけたフライパンも近いので一歩半で私の逃げは終わり、簡単にsellyさんに捕まった




私の右腕がsellyさんによって持ち上げられ、私の目線に来た自分の手にピントが合う





｢なにこれ｣



｢あーえぇーっと、あはは……なんでしょう｣




もちろん自分のことなので気づいてないわけがない
私の右の人差し指は青く腫れていて、隣の指達と完全に不釣り合いな太さになっていた


へ…っと眉根を寄せるsellyさんに私は目を泳がせる





｢なんでこれで料理のことするの｣



｢指一本くらい負傷…ケガしてても、生活できますよ｣




掴まれたまんまの右手をグーパーしてみせる
鈍い痛みが襲うけど、これぐらい我慢できる範疇だ

大体突き指程度で騒がなきゃならないほど私の体はやわじゃない




｢痛くないの？｣


｢ちょっとだけ｣



｢バカなの？｣




｢はっぅっ｣




容赦なくsellyさんが私の人差し指を弾いた
右手を掴まれたまんまのせいでしゃがめないし動けないけど、じたばたと足を動かす




｢何するんですかぁ！｣




｢これ大変な事じゃないの？あー、……healのこと、する方がいい
泣いてるし…｣




｢sellyさんの一撃のせいですよ！！｣




｢Aが嘘付きのせいだ｣




うぅ……酷い

1-6→←1-4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す