ウンディーネの泪

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こういうのを蛇に睨まれた蛙と言うのだろうか

身体は寒くなっていくのに、知恵熱が出そうな程

ジンは頭を最大限に働かせていた

JM「…彼女についてどこまで知ってる？
お前の為にも、正直に言った方が良い」

JN「え、えっと…」

全部。まして恋人だ、などと言えるわけ無い

言ったら彼女も僕もどうなるか…

鋭い視線が容赦無く突き刺さる。

ここは当たり障りの無い事を言って

何とかこの状況から脱さなければ！

JN「り、隣国からやってきたお嬢様で
花や緑が好きで、穏やかで

僕の料理を美味しいと言ってくれる
心の優しい人だと…」

JM「先刻、彼女の家から出てくる姿を見た。
窓から出て行ったようだが、なぜあの場所にいた？

あの一帯はテヒョン様の私有地。
お前も城で働くなら知ってるはず」

JN「っ？！」

JM「何か罰を受けるなら自分にしろと言われた。
…彼女と会うのも一度や二度では無いな？

もう一度聞く、これが最後。
お前の返答次第でこの先のことが決まる。

彼女の何を知っている、何を見て何を聞いた」


まるで、全て見透かされているようだ

分かっていてこの質問をしているのか

もしそうだとするなら、尚更引けない。

これ以上Aちゃんが傷つかないように…


JN「…確かに何度も会っています。
でも、僕が知っている彼女は先程申し上げた通り。

何か罰を受けるのなら全て僕に。
初めに声をかけたのも、また会いに行ったのも

全て僕から始まった事です。
彼女は何も悪くありません。」

い、言った…言い切った！

我ながら目を逸らさず、あの冷たい目を見ながら

よく最後まで言い切れたものだ。

未だ読みきれない表情に心臓が激しく動いていた



一方、ジミンは先程考えるのも辞めた答えが

心の中で見事に着地してしまったことで、

頭を抱えて叫びたい気持ちでいっぱいだった。

人間を心底憎んでいるであろう彼女が

数回会っただけの嫌いであろう"人間"を庇うなど、

特別な何かがあります！と言ってるようなもの。

そして、この男。

最後は解っていての発言だろう

何かを、誰かを守ろうとする目。

少し鎌をかけるつもりが、こんな分かり易く

お互いを庇い合ってるなんて…

ジミンにとってひとつ計算外だったのは

互いに好意を持っているだけ、ではなく

既にその想いを結び合っている事に気づいたこと。


これ以上、テヒョン様を刺激してくれるな…


誰かを想う気持ちがいくつも絡み合っていくのだ

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