ウンディーネの泪

…25 ページ25

カチャカチャと食器とフォークが当たる音。

今日はテヒョンがこの部屋へ来た時から

いつもと違う雰囲気だと気づいた。

TH「ご馳走さま…セレナ。話があるんだ」

あまりにも真剣な顔つきに

もうここには居られなくなった？

またあの場所へ戻されるのではないか…と

嫌な考えが頭の中に駆け巡り、顔が強張る。

TH「今日から、君を外へ出られるようにしたよ」

「…？！」

TH「陽が落ちて月が顔を出した時から、
また太陽が顔を出すまでの間

その時間だけ、城から出ないと約束できたら
この部屋の外に出ても良いよ…」


あまりに衝撃的な内容に頭が真っ白になる

そんなこと起こり得ると思いもしなかった。

色んな感情が混ざり、喉の奥が震える。

TH「ぁ…そうだよね。やっぱり、
泣く程ここは息苦しかったよね…ごめん」

「っ〜！！」

テヒョンが苦しそうに笑っていたのを見て

首を横に振った。

確かに外に出たい気持ちはあった、でも

本当に、この生活が苦だとは思って無かったのだ。

TH「だから、約束は守ってくれる…？」

涙を拭い頷くと、テヒョンも頷いた。

「…ありがとう」

TH「っ！…うんっ、どういたしまして！」




その日の夜、言いつけ通り月が真上に上がった頃

緊張しながらゆっくりとドアを開けた。

ふわっと顔に掛かる風と自然の香り

空気がこんなにも美味しいと感じる喜びに

胸がいっぱいになり、また泣きそうになった。


JM「感動してるとこ悪いけど」

「っ！！」

突然横から聞こえた声に驚くと

壁に寄りかかるジミンが面倒くさそうに見ていた。

JM「今日だけ、面倒だけどあんたに付き添って
この城の中、軽く案内するから。

入られたら困る場所もあるし…
分かったらさっさと着いてきて」

相変わらずぶっきらぼうなジミン

追いかけるようにその場所から足を踏み出した。



JM「ここから向こう側は、王の居る塔。
あんたが入れる場所じゃないから行かないこと。

ま、行くわけないか
またあの部屋に戻りたくないでしょ。」

そう言って楽しそうに笑ったジミン。

あの頃を思い出して、手が震えそうになる。

またしばらく歩いてると、広場みたいな所に出た

JM「ここは庭園。今は暗くて見えないけど
周りは色んな花が植えられてる。

真ん中のは噴水、その奥に行くと池がある
別に来ても良いけど、あんた水の力なんだってね。

その力使ったら、分かってるよね。
…ま、こんな感じ。」

意外とちゃんと案内してくれた。

JM「ねえ…」

…26→←…24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す