ウンディーネの泪

…18 ページ18

その言葉に顔を上げた

TH「ジミンに聞いたけど、言葉も分かるんだってね
ひどいな〜、俺すごく独り言だったじゃん！

いや、独り言だったのか、うん？まあいいや！
君と話ができるように頑張るから！」

自己解決したら、勢いよく宣言をして

ひとりで笑っているテヒョン。

本当に変わった子…

私を見つけてからそんな時間は経ってないのに

毎日一方的に話しかけてきたと思えば、

事実を知り、いきなり連れ出して謝って

なぜ私にそこまでするのか理解出来ない…

彼はどこまで知っているのだろうか。

TH「おーい？聞いてる？もう〜っ
頷くくらいなら出来るでしょ〜？無視はやだ！」

再び目を向ければ今度は頬を膨らませている。

感情が豊かな子だ、きっと純粋なのだろう

そんな彼を見ていたら、なんだか少しだけ

心が軽くなったように感じた。

「ふふっ…」

TH「っ！笑った！？今笑ったよね！！あはっ！
でも、何が面白かったの？俺変な顔だった？」

まるで小さな子供のよう

JM「…失礼致します」

TH「あ、ジミン！聞いて！なんでか分からないけど
今セレナが笑ったんだ！ふふって！」

JM「…左様ですか。テヒョン様、
剣術の稽古の時間です、参りましょう」

TH「もうそんな時間？じゃあセレナまたすぐ来るね！」

ブンブンと手を振って部屋を出ていったテヒョン

なのに、何故かこの男は一向に動かない。

JM「あんたがここに来られたのは
テヒョン様の計らいだけど、勘違いするなよ。

干からびて死にそうなあんたを
可哀相に思っただけ…それだけだ。」

そう言い捨てて、足早に出て行ったジミン


可哀相か…棚の中に入っていた鏡で自分の姿を覗く

「ぁ…私…」

思わず自分の顔に触れた。

髪の艶は無くなり、目の下には薄紫の影、

頬はこけ、唇は青白く乾燥している。

何より痩せた身体は骨が浮き彫りになっていた

まるで変わり果てた姿に絶望する。

すぐさま浴室に駆け込み、湯船に湯を張った。

水の精霊なのだ。水と共に生きている彼女は

それが無くては生きていけない。

いや、生きてはいけるが生きていながら死ぬのだ。

服もそのままに身を沈めると、包まれるような感覚

血液が全身を駆け巡るのが分かった。

そうして時間も気にせず過ごして、湯から出ると

身体は軽くなり、少しばかり顔色は良く

肌にハリが戻ったのだ。

…19→←…17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す