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【過去】
トウエツ地方のカナタタウンに、未来の一族の両親の一人娘として生まれた。両親にも未来の一族の特徴でもある宗教家な面があり、ビリアも自分達と同じようにしようとしていた。

それを忌避したビリアは幼い頃から反抗的で、両親からの指導には逃げ出し、スクールの授業は居眠りして過ごすような、典型的な不良だった。10歳になってから、実家から逃げるように旅を始めた。

しかし、現在の一族も過去の一族も、どちらも未来の一族を恨んでいた。反抗的とはいえ未来の一族であるビリアもまた恨まれることが多々あった。ただ気まぐれに旅をしたかっただけなのに、少し過激な思考を持つ他一族に攻撃されることもあり、ビリアの精神は段々荒んでいった。

1年半をかけてジム巡りをしたが、リーグには出場しなかった。公の場に出て未来の一族であるが故に叩かれるのを避けたかったからだ。本当は挑みたかったし、そんなことが起こる筈が無いと理解していながら、心は可能性を恐れた。

ビリアは人を寄せ付けなくなった。寄せ付けなければ嫌われることも無い、未来の一族であることがバレることも無いと考えた故だ。ビリアは不良少女として名高くなり、今度はその筋の人間から挑まれるようになっていった。それを全て追い返し、或いは打ちのめすうちに、いつしか舎弟を名乗る集団が出来、本当の不良として認識されるようになった。ビリア自身は、人を寄せ付けまいとしていただけだったのに。

転機となったのは14歳の頃のことだ。すっかり不良として名が知れてしまっていたビリアは、諦めて不良のように振る舞うことが増えていた。

通りすがりの旅人に、「お前、本当にそういう奴なのか?」と訊ねられたのは、丁度その頃だった。

己の本質を見て貰えた気がした。気付いて貰えた気がした。ビリアは不良擬きであることをきっぱりと辞めた。付き纏ってきた自称舎弟を見捨て、冷たい視線をはね除けて薄暗い世界から足を洗った。

恩人と崇めたその人がモデルをしていることを知ると、ビリアは所属事務所に就職した。少しでも彼に近付きたかった。神の恩恵だろうか、数多くいるモデルの中から彼の担当マネージャーになれたのは奇跡だと思った。

彼は素敵な人だった。外側が怖く見えるだけで、中身は誰よりも優しい人だった。ビリアの感謝が憧憬と恋慕へ変わるのは早かった。

彼を守りたい。彼を支えたい。その一心で、ビリアは今日も彼の後を追いかける。

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作者名:アカツキ | 作成日時:2020年9月22日 0時

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