41 Still... ページ41
タクシーが流れてきた。
手を上げる。
タクシーが停まる。
ドアが開く。
「ほら。」
乗りな、と、Aの背中をトンと押す。
Aが俺の真横を過ぎて乗り込む瞬間、フワッと香水の匂いが鼻腔をくすぐる。
その一瞬が、一気に記憶の断片を幾つもフラッシュバックさせた。
そう。これ。
いつも、ずっと、俺の側にあった香りだ。
「外苑前へお願いします。」
タクシーの運転手に行先を告げた後、ほんの少しだけ目を瞑る。
瞼をゆっくり開ける。
さっきと変わらず、Aが横に居る。
少しだけ、指を伸ばす。
指先に当たる。
その指先に触れる。
タクシーが動き出す。
「・・・・・・ねぇ。」
Aが口を開いた。
「・・・・・ん？」
「何で？」
「何が？」
「何のアポも取らずに、いきなり来たこと。そんなことするタイプじゃないじゃん。」
「そうか？(笑)」
「別れたカノジョ誘う趣味なんて無いでしょ。」
「そうかも、な(笑)」
「私が断ることだって十分有り得るでしょ。」
「ふふん。」
「ふふん？」
チラッとAの顔を見る。
ふふん、って何よ。みたいな顔してこっち見てるのがおかしくって、つい笑う。
予想通り過ぎだろ(笑)
「───知ってるから。」
「知ってる、って、何を？」
「いろいろとね(笑)」
「は？？？」
おあいにくさま。
俺は未来を見てきたからね。
おまえと一緒に繋いでいく日々を見てきたからね。
すげーだろ？(笑)
だから、笑って再会すること知ってたの。絶対、また会えるってね。
触れている指先を、Aの冷たい指が小さく握った。
それを、掌で握り返す。
顔は真っ直ぐ前を見て。
固く握りしめる。今度は離さないように。
きっと。もっと。
二人で何処へだって行ける。
still 完
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羊羽(プロフ) - うさぎ丸さん» 初めまして☆こちらこそ、読んでいただいた上に嬉しくなる感想いただいちゃって感謝カンゲキ雨嵐です。楽しんでいただけたならこれ幸い、書いた者冥利に尽きます(○´艸｀)他のものも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2015年6月27日 9時) (
レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ丸 - 初めまして！櫻井担です♪素敵なお話、ありがとうございましたm(_ _)mこんな素敵な作品を読めて嬉しかったです♪作者名から羊羽さんの他のお話、拝見しに行きます(^o^)v (2015年6月26日 18時) (レス) id: af0ac92990 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ポヨリンさん» こちらこそ、嬉しい感想ありがとうございます〜〜！深謝☆ (2015年3月10日 11時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
ポヨリン(プロフ) - お疲れ様でした。素敵な作品をありがとうございますm(_ _)m (2015年3月8日 23時) (レス) id: faa9497605 (このIDを非表示/違反報告)
ポヨリン(プロフ) - 羊羽さん» ぜひ！来てください！今、更新真っ最中です。ぼちぼちしか更新していませんが一言いただけるとありがたき幸せ。 (2015年2月28日 11時) (レス) id: faa9497605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年2月10日 14時
