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◇45◇ ページ46

A「っ、秀一さ……」


赤井は今までよりも強くAを抱きしめる。


赤井「本当に、……よかった」

A「!!」


Aは驚きを隠せなかった。
なぜなら、赤井の声が震えていたから…。


A「秀……い、ちさん」


Aは赤井の腕の中で、もごもごと喋る。


A「く、るし…」

赤井「っ!すまない、つい……」


バッとAを自分から離す赤井。
その目は若干、潤んでいた。


A「秀一さん?」

赤井「!?」


Aは赤井の顔に手を伸ばした。突然の出来事に赤井は驚くしかできなかった。


A「…泣いてるの?」

赤井「いや、これは……」

A「なんで……?」

赤井「……ハァ」


赤井はAの真剣な眼差しにため息をひとつついて、向き合った。


赤井「お前の記憶が戻ったことが、嬉しかったからだ」

A「え……」


赤井はAの肩をつかみながら淡々と述べる。


赤井「俺は……お前が記憶喪失になったのは、半分俺のせいだと思ってる。」

A「そんなことっ!」

赤井「俺はあの場にいながら、見ていることしか出来なかった。もう少しはやく、お前を、助けていたら……お前は記憶を失わずに済んだのに、と。何度も後悔した。俺は……」

A「……」

赤井「俺はお前の記憶を奪ってしまっ___!」


突然、Aが赤井を抱きしめた。


赤井「な……」

A「でも助けてくれた。だから私は生きてるんだよ、秀一さん」

赤井「っ」

A「秀一さんがあの場所にいてくれてなかったら、私は記憶喪失どころかこの世から消えてたかもしれない。でも、秀一さんのおかげで、私はこうやって生きてるの。……だから、お願い。」


Aは目に涙をため、震える声を振り絞って言った。


A「自分を、責めないで……」


赤井はそんなAに心を打たれた。
そんなふうに思っててくれたんだ、と。

赤井はAの背に手を回して、耳元で囁いた。



赤井「A……」

A「ん?」






赤井「…………好きだ」



その声は今までに無いくらいに、優しく、悲しい声だった。

◇46◇→←◇44◇


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剣城萌江(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます! (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9aee53a1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - はちゃめちゃに面白かったです、、! (2020年8月7日 22時) (レス) id: bd20f305fa (このIDを非表示/違反報告)
『 』 - 面白かったです!! (2018年1月30日 23時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 夢羽さん» コメントありがとうございますヽ(;▽;)ノそう言っていただけてとても嬉しいです(涙) (2017年2月21日 19時) (レス) id: 7ee6bd3e98 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽 - 完結おめでとう!とてもおもしろカッターデス! (2017年2月19日 8時) (レス) id: d3a97d98d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城萌江 | 作成日時:2016年4月18日 17時

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