桃色の指先と翡翠の憂鬱 43

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佐｢あべちゃん嫌い｣

阿｢俺は大好き｣

佐｢どうして行くなって言ってくれないの？｣

阿｢佐久間のためだから｣

佐｢ニューヨーク留学しなくてすむように、3人で悩んだじゃん｣

阿｢あれは、お父さんの意思でしょ？佐久間は旅行で行って、ニューヨークの舞台に憧れたから、今は違う｣

佐｢そうだけど…｣



阿｢移住するわけでもないし、俺は佐久間と遠距離でもやっていける自信あるよ｣

佐｢あべちゃん変わったね｣

阿｢強くなったと言って欲しいな｣

佐｢行かないでって泣いてくれるあべちゃんが良かった｣

阿｢ごめん…｣

佐｢謝らないでよ。わがまま言ってるのは俺｣

阿｢俺は行くなって言ったら後悔するから言いたくない｣

佐｢後悔なんか、ずっとしてるよ。気持ち悪いって、俺だけなら良いけど…2人が言われるの…俺のせいじゃん…｣

阿｢佐久間…｣



佐｢俺があべちゃん好きにならなきゃ、良かった…｣

阿｢まだそう思ってるの？｣

佐｢あべちゃん、俺、あべちゃんの赤ちゃん欲しい…｣

阿｢…｣

佐｢ごめん…無理なこと言っちゃった｣

下を向いて涙を堪える佐久間を抱きしめる。




阿｢俺は赤ちゃん欲しくないよ｣

佐｢そうなの？｣

阿｢うん｣

佐｢なんで？｣

阿｢わらび餅ちゃんいるし、何より俺は佐久間より大切なものは欲しくない。ずっと俺の1番でいて欲しい｣

佐｢うん…｣

阿｢子どもがいない人は不幸なの？｣

佐｢んーん｣

阿｢俺はお前に必要とされることが、幸せなんだよ｣

佐｢うん｣

阿｢3人で結婚なんておかしいって思われてたのに、今はみんな3人でいること受け入れてくれてるじゃん｣

佐｢うん｣

阿｢俺たち3人が納得してるなら、良いんだって。気持ち悪いって言われても、子どもが持てなくてもさ、俺たちは一緒にいたいんだから｣

佐｢うん｣

阿｢ニューヨーク行くことだって、俺は一緒にいるための試練だと思ってる。3人で傷を舐めあって過ごすより、3人で成長していこ｣

佐｢うん｣

阿｢佐久間、誰よりも愛してる。愛してるから俺は送り出すよ｣

佐｢ありがとう。俺もあべちゃん愛してる｣



佐久間の頬を触ってほくろに口付ける。

少し開いた唇がキスをねだって、佐久間の唇にキスをした。

甘くて柔らかい佐久間の唇…。

舌を入れて、何度も2人で求め合った。

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