桃色の指先と翡翠の憂鬱 43

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深｢先生、あの星はなに？｣

阿｢わかんない｣

深｢は？｣

阿｢いやだって、こんな多いのにどれか説明するの難しくない？｣

深｢あの星は？｣

阿｢いやだから。って、それは北極星｣

深｢わかんじゃん｣

阿｢あはっ。わかったね｣

深｢伝わらないって諦めるお前の悪い癖｣

阿｢うん。佐久間ともあまり話せてないや｣

深｢さっくん、ニューヨーク行くんだろっ｣

阿｢その話はしなくなったけど、行くだろうね｣

深｢引き留めないの？｣

阿｢さっき、距離は関係ないって｣

深｢戻るか｣

阿｢うん｣

深｢さっくんにニューヨーク仕込みとか肩書きいらねぇと思うぞっ｣

帰り道、ふっかが小さく独り言のように話した。

肩書きのために佐久間は行くわけじゃないはずだけど、俺と佐久間はその話題を避けてる。

ちゃんと話せってことか。

真田くんのために2人で散歩したのに、気持ちの整理が出来た。





玄関で1人で座ってるピンク髪が見えた。


佐｢あべちゃん、おかえり｣

阿｢待ってたの？｣

佐｢うん。ふっか、ひかるが探してたよ｣

深｢だろっ。あいつは俺がいないとだめなんだよな｣

ふっかが靴を脱いで早足で入って行った。


阿｢佐久間、さなぴーは？｣

佐｢ゲーム中に寝落ち｣

阿｢川島先生は？｣

佐｢またお風呂入って、とーまちゃんと電話してる｣

阿｢潰れなかったんだ｣

佐｢だって、のえちゃん途中から水飲んでたよ｣

阿｢気付かなかった｣

佐｢あべちゃんは、見てるようで見てないからね｣

阿｢佐久間、言うね｣

佐｢俺も星みたい｣

阿｢じゃぁ、もう1回散歩行こうか｣

佐｢うん｣


上着を来てこなかった佐久間にコートをかけた。

こいつ、わざとだ。

手を繋いで、旅館から下る坂道を2人で降りていく。

阿｢佐久間｣

佐｢ん？｣

阿｢ニューヨーク行くの？｣

佐｢うん｣

阿｢なんのため？｣

佐｢色を増やすため｣

阿｢そっか。頑張ってね｣


繋いでた手を佐久間が離した。

顔が怒ってる…。

俺はニューヨークに行くなって言えないよ…。

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