桃色の指先と翡翠の憂鬱 43

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川島先生が車を出して、窓の外を見る。

少し曇ってて、富士山は見えない。


真｢さっくん、お菓子どれにする？｣

深｢さなぴー、ひかるにチョコちょうだい｣

照｢チョコは持ってきたよ。非常食になるし｣

佐｢くまさんのグミ食べる｣

阿｢俺もちょうだい｣

真｢小分けのなんで、どうぞ｣

川｢僕もグミ好き｣

佐｢のえちゃん、半分こ｣


くまの形のグミ。

海外のグミだから、歯ごたえがあって目が覚めた。


佐｢のえちゃん、赤いくまさんと黄色いくまさんどっち？｣

川｢どっちでも｣

照｢このグミ可愛いよね｣

真｢岩本さんもどうぞ｣

阿｢佐久間、くまさん持って来なかったね｣

佐｢のえちゃん、戻って。新橋色ちゃんと白群色ちゃん、連れて来るつもりだったの｣

川｢阿部先生、僕のケース開けてください｣

川島先生の1泊用のスーツケースに2匹が入ってた。

川｢佐久間が言い出すまで内緒にしてた｣

佐｢良かった｣

真田くんが佐久間に2匹を届けてくれた。

佐｢のえちゃんありがとう｣

2匹を胸に抱き締めて、頬ずりしてる。


深｢ひかるも持って来たよな｣

照｢うん。鹿さんファミリーね｣

真｢鹿？｣

照｢内宮で鹿さんに会えるらしくて、ご対面させる｣

佐｢鹿さん？｣

川｢伊勢神宮にもいるんですね｣

阿｢奈良とか広島だけだと思ってた｣

深｢伊勢神宮は野生の鹿だろ？俺いて良かったなっ｣

真｢ふっかさん強運だから｣

佐｢鹿さん、秋は恋の季節だから、動き回ってるのかな｣

川｢会えるといいね｣


佐久間、伊勢神宮に参拝することより鹿に会うことが目的になったな。


車内が静かになって、また佐久間が寝た。

俺ももう少しだけ寝かせてもらおう。




車が停まって目が覚めた。

コンビニの駐車場だ。

川｢阿部先生、コーヒー買ってきました｣

阿｢ありがとう｣

照｢ここから俺の運転ね｣

佐｢ふっか助手席ゆずる｣


運転席と助手席が交代して、川島先生と佐久間と真田くんで2列目。

もう半分来たんだ。あともう少しでフェリーだ。

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