桃色の指先と翡翠の憂鬱 43

【卒業公演編】＊続き ページ1

めめのサイン会が終わって、最後にめめが来年も映画に出ると告知して終わった。

声を掛けてもらって、サインをしてもらった写真集を胸に抱えてる女の子と目が合った。

凄く嬉しそうな笑顔に俺まで嬉しくなる。



川｢この後はどうします？｣

阿｢めめの楽屋入れないかな？｣

川｢阿部先生、そこまでサイン欲しいんですか？｣

阿｢違うよ。みんなに会いたいだけ｣

川｢昨夜一緒に夕ご飯食べましたよ？｣

阿｢そうだね。でも、なんか不思議と会いたくなっちゃうんだよね｣

川｢模擬店メニューでお昼ご飯にします？｣

阿｢んー。佐久間がどうするか聞いてみる｣

スマホを取り出して、佐久間に電話をかける。


阿｢佐久間、この後どうするの？｣

佐｢あべちゃん、なんでステージとサイン会来てくれなかったの？｣

阿｢うちのクラスの子が来てるんだよ｣

佐｢そっか。うんとね、めめはこれから別の仕事で、こーじはふっかとご飯と買い物に行って、ラウはまた無料塾の手伝いで、ゆり組は家に帰るって。えっと、さなぴーは？｣

佐久間が隣にいる真田くんに聞いてる。

佐｢さなぴーは友達の手伝いに行くって｣

阿｢ひーくんは？｣

佐｢ひかるは俺にべったり｣

阿｢いつものことだけど、予定ないの？｣

佐｢ないって。あべちゃんお昼ご飯一緒に食べよ｣

阿｢うん。じゃぁ、学食の前で待ち合わせでいい？｣

佐｢にゃす｣


川島先生にも佐久間の声は聞こえる。

一緒に学食の前の広場で、佐久間を待った。


佐｢お待たせーー｣

佐久間が走って川島先生に抱きついた。

佐｢のえちゃーーん｣

川｢佐久間、かっこよかったよ｣

佐｢にゃは。ありがとう｣

阿｢ラウもステージ立つと別人だね。存在感すごかった｣

ラ｢ありがとう。楽しかったです｣

照｢俺はサイン会って言われて冷や汗出たけどね｣

阿｢なんで？｣

照｢人との距離が近いから気を付けないと｣

佐｢ひーくん並んでたじゃん｣

ラ｢ふっかさんと塾の子が来てびっくりだったよ｣

照｢あの子がサイン欲しいって言うから、ふっかが許可したんだよ｣

佐｢ふっか、あの子に甘いんだよ｣

照｢こーじとふっかと2人であの子の服買いに行くって｣

川｢深澤さんが？｣

阿｢如恵留、まずいの？｣

川｢深澤さんと向井さんなら大丈夫ですね｣

佐｢のえちゃん？｣

川｢2人ならわかりますよね｣


川島先生は、ボランティアの越えてはいけない線ををいつも気にしてる。

あの子はもうふっかには友達だと思う。

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