(仮) forth (ページ10)

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「おー。伸びる、伸びる(笑)」

クスクス笑いながら身を乗り出して、覗きこむ様に私の頬を上へ下へと弄ぶ二宮さんに、どう対処していいのか分からず固まるしかない。

「…ん、んん！」

突然聞こえたわざとらしい咳払いに二宮さんが頬を摘まんだまま振り返る。私も声のしたドアの方を見たけど、二宮さんの体がカブってて見えなかった。

「あ、潤くん」

「あぁ、うん。…俺、邪魔した？」

「ん？全然。なんで？」

「いや…なんでって…」

気まずそうな松本さんの声に私も二宮さんも首を捻った。

「オタクら、付き合ってんの？」

「は？」
「え？」

「え？違うの？」

「いや、逆になんでそー思うの？」

「…キス、してたじゃん。今」

「え！？」って驚いた私の声が響く。

一瞬私の方に視線を戻した二宮さんが、「あぁ、そーゆー事」って笑いだして、体を開くようにずらして、私からも松本さんが見えるようになった。

「そっちからはそー見えるのね(笑)残念ながら、この人のほっぺたで遊んでただけよ」

「そーなの？んだよ(笑)焦ったじゃん。ってか、どっちみちイチャついてんじゃん」

クフフって口に手を当てて笑う二宮さんに、少年の様に無邪気に笑う松本さんがツカツカと近寄ってくる。

「A。ほら、荷物。これだけで大丈夫？」

私のバッグと薄手のコートを抱えた松本さんに、頬を摘ままれたままの私は無言で頷いた。