(仮) forth (ページ25)

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先に戻ってくださいって言ったのに、結局待っててくれた松本さん。ご機嫌に口笛？吹きながら自分と二宮さんの分、２つのタンブラーを手に軽い足取りで一課に向かう。

一方私は自分と大野さんの分を握りしめて、束の間の安息の地から戦場へと向かうような心境で、重い足を動かした。

「ねぇ、翔さんが本格的に帰ってきたらさ、皆で相葉さんの店行かない？」

「え？」

「翔さんだけタンブラー無いのかわいそうじゃん(笑)」

「………」

事情を知らない松本さんの提案はごもっともなんだけど…。先輩をまぁ君の店に…？

「コレ貰える条件っての？その基準みたいなのは知らないけどさ、絶対相葉さんも翔さんのこと気に入ると思うんだよね」

「……考えておきます」

私の曖昧な返事に不思議そうに窺う様な視線を投げてくる松本さんには気付かない振りをした。

「お待たせ～」って先輩の周りに集まっている皆の元に戻って行く松本さんの背中を横目に、自分の席に向かう。

「大野さん、コーヒー置いておきますね」って一声掛けて、今日の仕事の準備を始めた。

「Aちゃん、あんがと！」

ふわふわした笑顔で席に戻ってきた大野さん。コーヒーを一口飲んで「うまい！」って私にとっての最高の癒しの表情を見せてくれる。