五話* ページ6
ここでまとめてみよう。
いち、私は一ニンゲン。
なんてことのない一般人である。
に、ここはおそらく漫画『ワンピース』の世界。
目の前で水をがぶがぶと飲んでいる少年は誰あろう麦わらのルフィだ。
さん、そして私は前世ともいえる記憶を持ったまま、前世と同じ体を持ってここにいる。
今のところ前世との違いは見えない。違うとすれば手に入れた能力ぐらいか。
……今のところはっきりしてんのはこれぐらいだね。
そしてこれらから導き出される結論は……
「成程、わからん！」
「なにがだ？」
こんなへんてこりんな夢を見ている理由をずっと考えていた私だったが、今吹っ切れた。
私のこの二つの眼が見ている景色こそ現実。私が手に触れているモノこそ本物。
それが夢であろうと、なかろうと。
＊＊＊
「すげぇ〜！体から湯気が出てるぅ！」
「ふふん、コレぐらいは簡単サ」
吹っ切れた私は、手に入れた蒸気の力を確認中だ。
……出せる水蒸気も限界があるのね、これ以上は無理か。
訓練しだいで増えるのかな？
お、手とか指先からも噴射できると。
次は、出した蒸気を操れるか確認してみる。
頭の中で大きな『手』を思い浮かべる。
「手になったぁ！！」
「できた！ねぇルフィ君！これに触れてみて！！」
「これにか？わかった！」
半透明の蒸気でできた手に触れようと、ルフィ君が手を振るが、残念。空を切るだけに終わってしまった。やっぱり気体のままだから、触れることはできないのね。
覇気か何かしらで物理的な力を纏わせたら…、考えれば考えるほどこの能力の汎用性高いな。
「ありがと！ルフィ君！」
「ん！いいぞー！」
最後は、熱くなれ！と念じてみる。
もっと熱くなれよぉ！ってね。
よし、大体このぐらいかな。あとは、ルフィ君に実験してもらうだけっと。
「ねぇルフィ君、今度は私の手に触れてみて」
「おー！いいぞー！……あっちぃ！」
手に触れた途端ルフィ君が叫ぶ。
「ご、ごめん！！大丈夫？じゃあないよね……」
そんなに熱くしちゃってたか、なかなかどうして、制御が難しいなぁ〜。
「いや、大丈夫だ！心配すんな！」
勝手に実験につきあわせちゃった上に、火傷までさせたんじゃあ夢見が悪い。
「そっか、よかった。ありがとね」
「にしし。どうってことねぇさ！」
加減が難しいけれど、マスターできればおおよそ万能にこなせるようになるか…。
『スチスチの実』のことが大体分かった、流石ロギアというべきか…かなり伸びしろがある。
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
