三話* ページ4
さて、よくよく考えるとこれが悪魔の実であるという保証はない。ただただすんごく不味い果物を食べただけということも十二分にあり得る。
それだったら私とんだ貧乏くじ引いたな！？
やば、ちょっと自信無くなってきた。こんな状況にあやかれているってだけで私の人生における運全て使い尽くしたってことも十分に考えられるし……。
なれば、たしかめてみようか。
ちょうど目の前に人もいるしね。
「特に変化は、ない……？」
目を閉じて身体中の神経をとがらせ、頭で体のラインを思い描く。
けれどいっこうに変化の兆しが見えない。
変化系じゃない……。
か、やっぱり偽物ってことか。
こうなったらルフィ君に聞こう。
「ルフィ君？どう？」
「すっっげぇぇ〜〜！！体が煙みたいになってるぅ〜！！」
煙。
え？煙？！
そんなはずはない、だってモクモクの実はケムリンことスモーカーが食べるはずなのに。
思い切って目を開けて自分の手を見てみる。
しかしそこに手はなく、半透明な気体がフヨフヨと漂っているだけだった。
「ってえええ！？手がぁ？！」
うん。これは煙だ。
なんで？原作ではかなり前からスモーカーは悪魔の実食べてたよね？
イッツパラドックスぅ、頭が痛くなってきた。
もういいや、取り敢えずお早うの一服。
私は胸元をまさぐり、電子煙草を咥える。
元に戻れと念じれば煙状態だった手も元通りになった、便利……なのか？
「おぉ！その口の棒からも同じ煙が出るのか！それも悪魔の実の力かぁ？！」
煙は煙でも、タバコから出てるのは水蒸気だぁけどね。
って待てよ、もっかい手を煙に変える。
口から蒸気を吐き出して、それと見比べる。
把握。
これはケムリになる実じゃなくて、蒸気になる能力だ！
そもケムリンの能力見たことないからあれが水蒸気でないとは限らないけどね！
よし、ともかくこれを『スチスチの実』と呼称しよう。
「ルフィ君！これ水蒸気だよ！」
「すいじょーきぃ？なんだそれ？」
私はガクッと転けそうになる。
ルフィ君、水蒸気を知らないのね。
「そーだねー、簡単に言えば湯気みたいなものだよ。」
「そっか！なるほど！じゃあユゲユゲの実だな！」
またまた転びそうになる私。ルフィ君のセンスって何でこんなに独特なのかね。
まぁ、私が言えたことではないのだけれども。
「どした〜？さっきから？」
「いや、大丈夫。心配ないよ！ルフィ君、この実はこれから『スチスチの実』って呼んで。」
まさか偶然発見した悪魔の実がロギアの能力だったとは、お姉さんびっくりだぁ〜！
「ん〜？わかった！」
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
