十一話* ページ12
「いやー！ついたー！海軍基地の島ー！」
小舟を波止場に泊めて私たちは港に足を踏み入れる。
原作ではあんまりそういう描写はなかったけど、意外に人でにぎわっている。町のいたるところに出店が立っており、縁日ような感覚を覚える。
耳にはがやがやと人々の賑わいの声がたくさん届いてくる。
「ゾロってやつはどこに居るんだー？」
ルフィ君の発言で周りの人が一斉に跳ねる。
ゾロという名詞に過剰すぎる程に反応した。なんだここの人たちは。ゾロに親でも殺されたのかしら？
それにこの人たち何か練習でもしてるのかな？息ぴったり。
その後も、道行く人は私たちからあからさまに目を逸らし避けていった。
「コレって、私たちゾロの仲間だと思われているよネ。」
「…おそらく…そうでしょうね」
「何でだ？まだ仲間じゃねぇのに」
ここでは相当ゾロの悪評が広まってるらしいが……。まぁ恐れられるのは当然だし是非もないんだけどね。一般人からすりゃあそれはもう恐ろしいですわねぇ。
「ルフィさん、Aさん。ここでは極力その名前は口にしないで下さい。軍基地には僕が案内します。」
「おう、頼む！」
「りょーかい〜」
コビー君の提案を呑み、静かな路地裏を縫うように進み少し迷いながらも私たちは海軍基地へと向かう。
＊＊＊
青地に水色のストライプ。
奥には白い旗にカモメもシンボルが刻まれている。
うぅん、これこれ。
漫画で見た海軍そのものだね。
「つきました、ここが、海軍基地です」「ほえぇーでっかいねぇ」
「ゾロってのはどこだ！」
着くや否や、ルフィ君がゾロを探しに駆ける。
全くせわしない人だな〜、しかも何処かに行ったら何かしら問題を拾ってくるもんだから性質が悪い。
「ルフィ君、ここは私が入って中の様子見てくるから、大人しく待ってて。コビー君はお守りよろしく！」
「おれも行くよ！！」
「ここはAさんに任せましょう？ね！」
コビー君にルフィ君のお守りを任せ、私は高い城壁を越える。
＊＊＊
ん、今女の子のおにぎりが奪われたとこか。
「うっえ！！甘い！お前これ！砂糖ばっかじゃねぇかよ！！」
ヘルメッポことキノコがおにぎりを捨てる。
勿体ないなぁ！せっかく可愛い女の子が作ってくれたのに！
「こらぁ！」
ケムリンの『ホワイトブロー』のように腕を、手首以外蒸気化させて飛ばす。ルフィ君のゴムゴムを見て思いついたこの技。攻撃力はないけれど、汎用性は高いはず。
「よーし！！ナイスキャッチ！！」
「ぎゃぁぁ！！？空中に手が浮いとる！！？」
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
