ダメ女と女子力男子【灰】

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「気をつけて帰ってね……………あと、あんまり思い詰めないこと」

『……わかってます』

「じゃあ、おつかれ」

『今日もありがとうございました』



行きつけの居酒屋の前で手を振って歩いて行く木村さんを見送ってから私も家に向かって足を動かした。



あの日から家には帰らず妹の家に泊めてもらってるから、かるてっとさんとは一度も顔を合わせていない。

連絡も全て返していない。


でも距離を置いたおかげで、順調にかるてっとさんへの気持ちは忘れていってる。



………いや、嘘。本当はこれっぽっちも気持ちは変わってない。むしろ会わなくなったことで余計に彼のことばかり考えてる。



…考えれば考えるほどどんどん辛くなっていくだけなのに。




結局あの日の行動の真相は分からない。



ーーー「むかつく」


あの時の言葉は、はこたろーと仲良く電話する私に嫉妬したものだと思った。その時は凄く嬉しかった。


かるてっとさんも、私と同じ気持ちでいてくれてるんだって思っちゃった。……でも全部、勘違いだったんだ。



好きって言おうとした私にかるてっとさんは「ごめん」ーーそう言ったから。それって気持ちには応えられないってことだもんね。


あーあ、不完全燃焼ってこのことを言うのかな。……どうせならちゃんと告白してから振られたかったかも。


辛い。胸が痛い。苦しい。


『はぁーーーー』
　


こんなことなら好きにならなきゃよかったな……なんて、今更言っても遅い。

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