ダメ女と女子力男子【灰】

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私の目に映るかるてっとさんの顔と、真っ白の天井。そして背中には柔らかいものが当たってる。


状況を把握するのにそれほど時間はかからなかった。


私、ベッドに押し倒されてる。




『ど、どどど、した？』



顔が近くてちゃんと見れない。視線を多方向へ動かしてると「電話、」と本当に小さな声で呟いた。


　
『…え？』

「今の電話の相手…はこたろーさん？」

『そうだけど……それがどうかしたの…？』



かるてっとさんの表情から怒りが伝わってきて、語尾が小さくなっていく。


電話の声、うるさかったかな？気をつけていたはずなんだけど。


……でもそれだけでここまで怒るとは思えない。



ぎゅっ、と私の両手首を掴む手に力が込められる。かるてっとさんの熱が伝わってくる。


痛みで顔を顰めるけど、かるてっとさんが力を緩めてくれることはなくて。



「……仲良いんだな」

『え、』

「……むかつく、」



…ねぇ。

それじゃあ、まるで、

………嫉妬してるみたいに見えちゃうよ？




『……今日なんか、可笑しいよ？』

「………！」


私がそう言うと、ハッとした表情を見せた。怒りの感情から戸惑いの表情に変わった。



今更そんな顔をしても、私はもうスルーなんて出来ないよ。



『……私が、はこたろーさんと仲良くしちゃダメなの？』

「……っ」

『……なんか、言ってよ、』




あー、心臓がうるさい。

息が苦しい。


お願いだから、ちゃんと言ってよ。何を考えてるのか言ってくれないとモヤモヤして帰るに帰れないよ。


…それにもうここまで分かりやすい態度を取られたら、もうこの気持ちを止められない。



かるてっとさんも私と同じ気持ちで居てくれてるんじゃないかって思わずにはいられない。



『…私はっ、かるてっとさんのことがーー』


好きなんだよ、勢いで口から漏れそうになった言葉。ずっと心に止めていた想い。




だけど、それは、


「ーーーごめん、」


また伝えることはできずに、私の心の奥へ引っ込んだ。

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