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『大丈夫だよ。バカだから風邪ひかない』

「んなわけあるか」

『あ、水あるじゃん』



かるてっとさんの言葉を無視して冷蔵庫を開けて、中にあった水を取り出す。


あと全部お酒じゃん……どんだけ好きなのよ。


はぁ、と息を吐いてから冷蔵庫を閉じた。



かるてっとさんが横になってるベッドへ近くと丁度体温計が鳴った。


本人が確認する前に脇からそれを引っこ抜いて見る。



『……39度なんですけど?』



表示されてた数字に私も頭が痛くなってきた。




「やっば、」



たっけぇ、と笑うかるてっとさん。


全然笑える体温じゃないよ、と冷えた水をおでこに乗せてやる。



「つめたっ、」

『冷えピタ買ってこようか?』



私の問いかけにかるてっとさんは首を横に振る。



「そんなのいいから、早く帰りな」

『やだ』

「やだって、なんだよ」



かるてっとさんの表情が険しくなる。



『帰らない。今日は看病する』

「ダメだって」

『やだ!』

「A、お願い」

『やだ、』



かるてっとさんの側に座り込んで私も負けじと首を横に振る。



こういう時くらい頼って欲しい。……私だって、たまにかるてっとさんの役に立ちたいのに。



熱を孕んだ瞳がじっと私を見つめてる。



自分でもなんで意地になってるのかわからないけど、このまま帰るなんて嫌だ。



はあ、とかるてっとさんの溜息が耳にまとわりつく。




「A」


まるで子供に言い聞かせるように私の名前を口にする彼に唇を固く結ぶ。




『………私が居たら迷惑?』



私はベッドのシーツをぎゅっと掴んだ。



ずるい言い方だよね。…分かってる。



ほら、かるてっとさんもめっちゃ困った顔してるもん。


でもこんな言い方しないとかるてっとさんは折れてくれないと思うから。


しばらく見つめ合った後、私に背を向けて「……もう勝手にして」と呟いた。

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おゆき(プロフ) - りんさん» うわあ、嬉しいです…!でも心臓痛くなっちゃいましたか…ありがとうございました、と言っていいんでしょうか(笑)コメントありがとうございました。 (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - 雪さん» 素敵だなんてありがとうございます!嬉しいです!自分のペースになりますが、楽しんで更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - キュンキュンしすぎて心臓痛くなりました! (2021年4月2日 10時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
- 素敵すぎて一気に読ませて頂きました!また何回も読ませて頂きます。他の更新ものんびりと楽しみにしていますね。 (2021年3月6日 13時) (レス) id: 35fa8c2320 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - しめじさん» ちゃんと伝わりました!(笑)嬉しいです!ありがとうございます!次作もよかったらご覧になってください! (2021年2月6日 9時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月29日 9時

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