ダメ女と女子力男子【灰】

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とある日のお昼頃、私は動画の撮影を終えたしるこさんたちに誘われて通話に参加にすることになったんだけど。



《今日なにする？》

《じらいちゃんはなんでもいーよ》

《かるてっちー、したいゲームないの？》

《特にこれがしたいってのはないかなあ》



パソコンを起動してる時に聞こえてきた会話。それに小さな違和感を感じた。


正しくは会話ではなく、声に。




『…ねぇ、かるてっとさん』

《ん？どした？》


……やっぱり。違和感の原因はかるてっとさんの声。




もしかして、


『風邪ひいてない？』



私が聞いてみると、少しの間があって《…よく分かったな》と。



やっぱり、少し声が変だ。



《えぇ！全然気づかなかったんだけど》


じらいちゃんの言葉に、《俺も》としるこさんといちはちさんが言う。


『なんか、いつもより低くない？』


少し掠れた感じもするし。

そう言うと《全然わかんないよ》と笑われた。



あれ？気づいたの私だけ？なんかちょっと恥ずかしいな。



なんて思ってると、



《よく聞いてんだね、俺の声》



かるてっとさんがわざとらしいイケボを出すから逆に恥ずかしさがスーっと消えた。


妹に嫉妬していたことが発覚した日以来、かるてっとさんはこうやって茶化してくるようになった。私の反応を見て楽しんでる感じ。



まだ今日みたいに通話の時なら、


『いいヘッドボンだからね』


こうやって冷静に返せるんだけど、直接会ってる時に、言われるとやばい。もう茹でタコよ？



《照れんなって》

『照れてないし』



かるてっとさんは、きっと私が本気で好きだとは思ってない。

私の好意に気づいているなら、きっとこんな茶化すような事はしないと思うから。



『……最近寒いし気をつけてね』



好きでいるだけじゃ関係は変わらないし、はこたろーが言ってたようにのんびりしてたら他の女の人にとられちゃうかもしれない。


それでもやっぱりこういう時間を壊す勇気は私にはないから、また以前のように接してる。………私はまだこの関係に甘えてる。

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