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「今日は助かった、ありがと」
『これくらいいいよ。いつもお世話してもらってるし』
プレゼントは本当に真剣に選んだ。これなら絶対喜んでくれるって思うものを。
でもそれを受け取るのは私じゃないんだって思うと苦しい。
あれから今もずっと、かるてっとさんは普通だったけど、私は落ちた気分が上がらないままだ。
結局誰にあげるのかちゃんと聞けなかった。悶々としたまま私は『おやすみ』と一言言って自分の部屋に入った。
この日はもう、かるてっとさんの顔をちゃんと見れなかった。
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二日後、いつものメンバーで集まってゲームをすることになった。昼からゲームをしていたのに気づけば外は真っ暗で、時計を見ると19時を回っていた。……ゲームしてると時間感覚が狂うんだよね。
一旦休憩を挟もうという話になり、それぞれ雑談しながら好きなことをし始めた。
私も小腹が空いて、近くにあったクッキーを食べようとした時、
《で、Aちゃんは一体どうしたの!》
じらいちゃんが待ってました!と食い気味に聞いてきた。
ほんの数秒前、かるてっとさんが用事があると通話を抜けたところだ。
クッキーを一旦口元から離す。
『…どうしたの、とは?』
なんとなく聞きたいことは分かるけど、気づいてないふりをしてみる。
《かるてっちーのことだよ》
と、ぼける私に《それしかないでしょ!》と笑うしるこさん。
《Aちゃん今日暗いもんね》
いつものトーンで話すいちはちさんのマイクから、お菓子の袋をあげる音がした。
《悩み事なら話してみ?》
『……………何も悩みなんて、無いよ』
《嘘が下手!》
私の嘘なんてみんなお見通しなようで。
《かるてっとさんとなんかあったんでしょ?バレバレだから!》
『ほ、本当に何もないの…………ただ私が勝手に落ち込んでるだけで、』
《なら何も無いことないだろ。Aちゃんが落ち込むってよっぽどのことでしょ。かるてっとさんが酷いことするとは思えないけど、何かされたんだったらじらいちゃんが怒ってあげるから!》
『ち、違う違う!……かるてっとさんは本当に何も悪くないの!』
見られてるわけじゃないのに、はぁと息を吐いて顔を手で隠す。
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おゆき(プロフ) - りんさん» うわあ、嬉しいです…!でも心臓痛くなっちゃいましたか…ありがとうございました、と言っていいんでしょうか(笑)コメントありがとうございました。 (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - 雪さん» 素敵だなんてありがとうございます!嬉しいです!自分のペースになりますが、楽しんで更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - キュンキュンしすぎて心臓痛くなりました! (2021年4月2日 10時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 素敵すぎて一気に読ませて頂きました!また何回も読ませて頂きます。他の更新ものんびりと楽しみにしていますね。 (2021年3月6日 13時) (レス) id: 35fa8c2320 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - しめじさん» ちゃんと伝わりました!(笑)嬉しいです!ありがとうございます!次作もよかったらご覧になってください! (2021年2月6日 9時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月29日 9時