3 ページ3
・
・
・
・
・
『嘘でしょ、』
22時を過ぎた頃、私は自分の部屋の前で立ち竦んでいた。
高校卒業と同時にスカウトされ、読者モデルとして働き始めた。
今日は打ち合わせで東京の事務所まで行って、撮影をして、愛知まで帰ってきて、というなんともハードな１日だった。
今すぐにでもお風呂に入ってベッドに滑り込みたいくらいヘトヘトなのに、
『家の鍵、事務所に忘れてきた……』
やってしまった。これはまじでやらかした。
今から東京に戻ることはまず不可能。東京に戻ったとしても愛知に帰ってくるのは明日の朝か昼前になってしまう。……こんな時間だから管理会社にも電話は繋がらないし。
あと私には友達が居ない。だから一泊泊めてよー！なんて言える子も存在しないのだ。
はあ……満喫とかに泊まるしかないか。
今日は立ちっぱなしでもう脚が棒だ。タクシーを呼ぼうとスマホを取り出してタクシー会社に連絡するが、中々電話に出てもらえない。華金だもんなーーー。
何度目になるか分からないため息を吐いてから、自分の部屋の扉の前に腰を下ろした。今日はここで野宿？…最近隣の家に誰か引っ越してきたところなんだけど、ここで会ったらやばい奴だと思われちゃうじゃん。
あー、終わった。全て終わったわ。つら。
肩を落としてるとスマホの画面が光り、メッセージが入ってきた。
《Aちゃん今何してるー？》
ゲーム仲間のしるこさんからだった。
《じらちゃんとかるてっとさんと通話してるんだけど、一緒に話さない？？》
しるこさんはオンラインゲームで知り合った人で、私のゲーム仲間の中では一番長い付き合い。
そのしるこさんのさらに友達のじらいちゃんとかるてっとさんは最近繋がった。よくゲームをしたり、話したりして、最近はほぼ毎日連絡を取り合うくらい仲がいい。
今日も話してるんだ。……本来だったら暖かい部屋の中でゆっくり話せたのに……数時間前事務所の机に鍵を置いた愚かな自分を呪いたい。
そんなことを思いながらもこのどんよりした気持ちを晴らしてもらおうと私はすぐに《いいよ》と返信した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おゆき(プロフ) - りんさん» うわあ、嬉しいです…！でも心臓痛くなっちゃいましたか…ありがとうございました、と言っていいんでしょうか（笑）コメントありがとうございました。 (2021年4月15日 14時) (
レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - 雪さん» 素敵だなんてありがとうございます！嬉しいです！自分のペースになりますが、楽しんで更新していきます！ありがとうございます！ (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - キュンキュンしすぎて心臓痛くなりました！ (2021年4月2日 10時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 素敵すぎて一気に読ませて頂きました！また何回も読ませて頂きます。他の更新ものんびりと楽しみにしていますね。 (2021年3月6日 13時) (レス) id: 35fa8c2320 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - しめじさん» ちゃんと伝わりました！（笑）嬉しいです！ありがとうございます！次作もよかったらご覧になってください！ (2021年2月6日 9時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おゆき | 作成日時：2020年11月29日 9時
