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少し前の私なら平気でかるてっとさんの背中に乗ってただろうけど、今はもう無理だ。
ど、どうしよう…。
重いとか思われたら嫌だな、
でも、かるてっとさん待ってるし…!
「早く」
痺れを切らしたかるてっとさんが私の手を引っ張った。
お酒が回って踏ん張ることも出来ず、そのまま背中に倒れ込んだ。
頭が状況を把握しきるうちに私の足に手を回して立ち上がるから、咄嗟に私もかるてっとさんの首に腕を回した。
「…かっる、」
『………かるてっとだけに?うまい』
慌ただしく動き出す心臓。それを隠すためにくだらないことを言ってみるけど「落とすぞ」と怒られた。
それから特に何を話すわけでもなく、かるてっとさんの足音だけがあたりに響く。
居酒屋から家まで10分程度の道のりなのに、こんなに長く感じたのは初めてだ。
酒でクラクラする頭は、かるてっとさんの甘い香りに包まれて、さらにクラクラしてきた。
「ちゃんと飯食ってた?」
長い沈黙を破ったのはかるてっとさんだった。
『…食べてたよ、ひたすらサラダを』
とりあえずいろんな野菜を食べとけば栄養取れるでしょ。という考えだ。
「野菜食っときゃ、栄養取れるとか考えてないよな?」
『え、取れないの?』
「野菜だけはダメだろ」
サラダ食べとけば大丈夫だと思ってた、
そう私が言えば「はぁーーー」と長い溜息。
その溜息すらも今はソワソワしてしまう。
呆れちゃった…?
と、かるてっとさんの顔を覗いてみる。
「…ん?」
『!』
私の視線に気づいて、顔をこっちに向けたかるてっとさん。至近距離で目があってバッと逸らした。
「…やっぱ今日変じゃない?」
『そ、そんなことないよ、』
「…俺余計なことした?まだあの人と話してたかったか」
『ちが、』
違う、そうじゃない。
ただちょっと緊張して、どうしたらいいか分からないだけ。
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おゆき(プロフ) - りんさん» うわあ、嬉しいです…!でも心臓痛くなっちゃいましたか…ありがとうございました、と言っていいんでしょうか(笑)コメントありがとうございました。 (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - 雪さん» 素敵だなんてありがとうございます!嬉しいです!自分のペースになりますが、楽しんで更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - キュンキュンしすぎて心臓痛くなりました! (2021年4月2日 10時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 素敵すぎて一気に読ませて頂きました!また何回も読ませて頂きます。他の更新ものんびりと楽しみにしていますね。 (2021年3月6日 13時) (レス) id: 35fa8c2320 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - しめじさん» ちゃんと伝わりました!(笑)嬉しいです!ありがとうございます!次作もよかったらご覧になってください! (2021年2月6日 9時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月29日 9時