ダメ女と女子力男子【灰】

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足の踏み場がないほど散らかった部屋を見渡し、ため息をついた。




足で物を退けながら歩き進め、唯一横になれるスペースのあるベッドにダイブする。




『息してるだけなのに、なんでこんなに散らかるんだろ。ふしぎー』




３日前はまだ綺麗だったはずなのにな。片付けても１日で部屋が崩壊するのは私の家の七不思議の一つでもある。




まあ、これくらい散らかっててもベッドさえ綺麗だったら生活はできるか。なんて考えてると「まじかよ、」と呟くような声が聞こえた。




　
クッションを抱きしめながら顔を向けると、頬をひくつかせながら私の部屋を見渡す男が玄関で立っていた。





『あ、かるてっとさーん、やっほ』





手を振る私を見て、彼はとんでもなく長い息を吐いてから靴を脱いで部屋に入ってくる。




その間に、廊下に散らばった私の下着をまるでゴミを拾うような手つきで掴み洗濯機に放り込んだ。洗濯ネットにもきっちり入れて。





『ほんと、出来た男だね』

「なんでお前はそんなにだらしないの？俺に下着見られて恥ずかしくないわけ？」

『ぜんぜーん？』

「はぁーーーーー」





バタン、と強めに閉められた洗濯機の蓋から彼の感情が伝わってきた。




かるてっとさんは彼氏でもなければ、兄ってわけでもない。私たちの関係を言葉にするなら………友達？……はっきり友達です、とも言い難い。




元はオンラインゲームで知り合った共通の友達を持つゲーム仲間。その程度の関係だったのに、




神様の悪戯なのかなんなのか、住んでいるアパートの隣人だということが発覚したのが数ヶ月前。




それが今ではこうやって私の部屋に自由に出入りして掃除してくれたり、作ったご飯を持ってきてくれたり。大変、お世話になってるわけですよ。

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