検索窓
今日:20 hit、昨日:9 hit、合計:164,848 hit

酔特急 3号車の場合 ページ10

.


一日のスケジュールを終えた稜雅から「これから帰るんで」と連絡があったのが一時間ほど前になる。
時計の秒針の音だけがやけにはっきりと聞こえる部屋で、そんなに離れたところで飲んでた訳でも無さそうなのに、何かあったのでは…と考え出したら落ち着いてなどいられるはずもなく。まだか、まだかと開錠してある玄関先で体育座りになって待つ。


「ただい…ま、どした、」

ドアを開けた瞬間驚いて身を引く彼の姿を見て、安心感から思わず口元が緩んだ。

「祐基と飲んでてさ、」何を聞くまでも無く腕時計を外しながらソファーに腰掛けると、遅くなった理由を話し始める。どうやら祐基くんが飲みすぎて、とてもじゃないけど放っておけなかったので途中まで送ってきたそう。

『無事帰れてるといいね、祐基くん』
「近くまで送ったから大丈夫だと思うけど」

着替えようと服に手をかけながら「ほっとけほっとけ、」と続けると、しっしっ、と手を払う素振りを見せる稜雅。

「ていうか、えっ、Aさん?愛しの彼への心配は?」
『それは、ほら、玄関居たくらいですし、』
「あー…、なかなか帰ってこない俺の事考えてたら居ても立っても居られず、的なね」

したり顔で返す彼に、見透かされた気分になって押し黙っていると「忠犬かよ」と雑に頭を撫でられる。わしゃわしゃと髪を乱されながらも、動くたびにふわっとアルコールの匂いのする彼の方へ顔を寄せて嗅いでいると「おまっ、犬感すごいな今日、」と笑われた。

ひとしきり笑った所で背もたれに寄り掛かると、伏し目がちでこちらに目をやる。

「…可愛いなくっそー、」ぼそっと言って勢いよく立ち上がると、その様子を訝しげに見ていた私の手を取りベッドへと連れて行くのだった。


( いつにも増して可愛いなチクショウ )

.

酔特急 4号者の場合→←酔特急 2号車の場合



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (135 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
458人がお気に入り
設定タグ:超特急 , 8号車 , 短編   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

sheep(プロフ) - りんさん» ありがとうございます(*´ω`*)気まぐれ更新で申し訳ないです…!頑張ります! (2017年11月11日 1時) (レス) id: 4d3ab07cfa (このIDを非表示/違反報告)
りん - すごく素敵です!続き期待してます! (2017年11月9日 19時) (レス) id: 6430758306 (このIDを非表示/違反報告)
sheep(プロフ) - 福田キャットさん» コメントありがとうございます( ; ; )うれしい…!そう言って頂けると益々頑張れます!ありがとうございます( ; ; ) (2017年10月24日 1時) (レス) id: 4d3ab07cfa (このIDを非表示/違反報告)
福田キャット(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています!これからも頑張ってください! (2017年10月23日 21時) (レス) id: 02d1fbcb72 (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - sheepさん» こちらこそありがとうございます!遅くに何回もごめんなさい!じゃあ明日(もう今日だ笑)行きますね!おやすみなさい^^ (2017年10月7日 0時) (レス) id: eac264aa47 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:sheep | 作成日時:2017年10月2日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。