DRAMATIC 7

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Aは突然居なくなった。電話してみても、返ってくるのはこの番号は使われてないって繰り返すアナウンスだけ。

彼女が頻繁に遊びに来て居た部屋も今は一人分の荷物が置いてある、仕事から帰ってただ寝るだけの部屋になった。


あの日、最後にAを見た日、棒みたいな足を引きずるようにして彼女の元へ行くと、開口一番で「別れよう」そう言われた。

彼女と別れてすぐ伝えようと思った、でも、もう遅かった。


どこで何してんだよ、
なんでいきなり消えるんだよ。


ふと、付けっぱなしになっていたテレビに地方のイベントの様子が映し出された瞬間、目を見開いた。どうか似ている人であってくれ、そう思いながらも一人の人物から目が離せなくなった。


「……A、」

アナウンサーがレポートしている後ろで、楽しそうに笑ってる男の人と、ふっくらとしたお腹のAの姿に思わず画面から目をそらす。
堪え切れなくなった涙が止むことなくズボンを濡らして、自分の気持ちを思い知らされた。



「 好きになったらおしまい…約束ね 」


あんな約束、しなきゃ良かった。
彼女の話するたび何かを我慢してきゅっと口元引き締めるのが可愛くて、いつの間にかそんなAが好きになってた。



でも俺、自分で思ってたよりずっと、Aの事好きだったみたい。


もう触れられない、声も聞けない君へ
( どうか幸せであってほしい )

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