DRAMATIC 7

2号車と、 ページ31

1/2 you.



口実なんて何でも良くて、会えば優しく笑ってくれる彼に甘えて、気付けば二年も身体だけの関係が続いていた。



「昨日水族館行ってきたんだけどさ、めっちゃ癒された、」

あとね、こんなでっかいサメ居んの！、なんて身振り手振りで話す海はどこか幼くて、シャツのボタンを外す姿とのギャップに思わず笑ってしまう。

『私も行ってみようかなぁ』
「半額チケット貰ったからあげる。」

一緒に行こうなんてベタな返しは期待してない。だって、私も彼にもパートナーが居る。
お互いただ刺激が欲しくて、絶対に好きにならない条件まで設けて、どちらかが飽きれば簡単に終わらせる事が出来る、都合のいい関係で。


すっかり来慣れたホテル。二人でシャワーを浴びて、束の間の会話が止めば引き寄せられるように唇を重ねて、濡れた身体のままベッドに沈む。


「ねぇ、たまにはこれ外してよ、」

唇を離すと私の左手を取って、薬指にはめられた指輪をなぞる海。

「はい、没取〜」
『あ、ちょっ、海、！』

答えに迷っていた私の指からするりと指輪を外すと、ベッドの脇にあるサイドテーブルの上に乗せた。

「……だけ、」
『ん？』
「何でもない」

と首を横に振って「A、」と、投げ出されていた両手を押さえ込まれながら首筋に唇を這わされ、下へ下へと這うにつれて声にならない声を上げた。

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