DRAMATIC 7

4号車と夢 ページ26

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「Aー… ねぇ、A、」

浅い眠りから覚めてぼんやりしていると、すぐそばでとろんと眠気の残った声が聞こえてくる。伸びをするついでに頭上にあった目覚まし時計を確認すれば時刻は午前6時。


「すっごい嫌な夢見た。」

そう言ってぴたりとくっついていた身体を更に寄せると、息が止まりそうになるほどぎゅっと抱きしめてくる。

「Aが俺の前で浮気すんの、ごめんねって、」
『わ… それは嫌な夢だったね』
「やだ。無理。絶対耐えらんない」

聞き分けのない子供のように頭を振ると、「…どこも行かないで」と伏し目がちに遠慮しながらぽつりと呟いた。

『行かないよ、一緒にいるよ』
「ほんとに？… 絶対？」

憂わしげな表情を浮かべる彼に『絶対』とだけ残して頬を撫でると、嬉しそうに口元を歪ませる。

『拓ちゃんほんと子供、』
「なにそれ、嬉しくない」
『可愛いってこと』
「全然嬉しくない、」

格好いいが良い、と付け足すと触れるだけのキスを何度も交わして次第に瞼が落ちてくると、目を細めて笑いながらこちらを見つめる。


「…A、大好き、」

うわごとのように呟いて満足そうに目を閉じた。


( 今度は幸せな夢を見てるといいなぁ )

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