近くて遠い ④【ダイヤのA】 (ページ27)

今日:19 hit、昨日:11 hit、合計:23,503 hit

172 ページ27

「一也…聞いて？」

私がそう言うと身体をゆっくり起こした
ベットの上で胡座をかいて一也は座る
私は一也と向き合って正座をした

本心を聞かせてって一也が言ってくれたから、今思ってること全部さらけ出すことに決めた

「たぶん…一也の事好き…最近ずっとドキドキしてたし、クラスの子に嫉妬もしてたと思う
でも一也の望む彼女になれるかわかんない
困らせないかが心配…」

真剣な顔つきからフッと笑っていつもの顔に戻った

「嫌って思ったことは全部言えよ
俺も遠慮なく言うし、躓いたら2人で乗り越えようぜ
俺の方が多分泣かすし…いろんな意味で…」

「どういうこと？」

「それはおいおい……今言って好きを取り消されたら困る…で、
俺はAが好き
Aも俺が好きってことでいいんだろ？」

「うん、一也が好き」

ヤバい…言葉に出すと途端に恥ずかしくなる
全身の熱が顔に集まったみたいに熱い…
反応がない一也をチラッと盗み見ると
きょとんとした後、一気に真っ赤になって手で顔を覆ってしまった

隠せてない耳も真っ赤

ベットに置かれていたもうひとつの手に、遠慮がちに触れるとピクッて少しだけ動いた

「一也、好き…」

一也がたくさん好きって言ってくれたから私も気持ちを伝えて少しでも返したい

「……っ、………はぁ～お前、ほんと…そういう所だからなっ！」

「？」

触れていた手を引き寄せられて、すっぽり一也の腕の中に収まる

今まで何度か抱きしめられた事はあるけど、今までとは意味が違う

一也の体温にこんなにも安心するんだなって…
ギュゥと力強く抱きしめられて、苦しくなってきた

それをそれとなく伝えると、悪いって言って少し腕の力を緩めてくれた

「やっと…Aが手に入った…」

「一也はいつから…その好きでいてくれたの？」

「自覚なかったから、自分でもよくわかんねぇ…
好きなことしかしてこなかったし、周りに置かなかったのは確かだから、ずっとなんじゃねぇかな」

子供だった私たちが少しだけ大人に近づいた
一也となら壁にぶち当たったとしても2人で乗り越えていけそう