＊ ページ38
──────────────────────
人生の中で何度か嗅いだことのある独特な匂いがする。
それと同時に小さく機械の音も聞こえてきて、俺はゆっくりと重たい瞼を開けた。
視界が少しぼやけているが、目に映ったのは白い天井。
ここが病院であるということを認識するまでに時間はかからなかった。
向「ふっかさん！！！！！」
俺が目を覚ましたのがわかったのか、そばに座っていたのであろう康二が大きな声を出した。
俺はびっくりして抗議の声を出そうとするが、酸素マスクが付けられており上手く声が出なかった。
そしてその康二の声が聞こえたのか、病室の扉が開けられると他のメンバーがわらわらと入ってくるのが見えた。
…みんなしてそんな心配そうな顔しちゃってさあ、俺は生きてるっつーの。
ラ「よかっ、よﾞかﾞっﾞたﾞぁﾞ〜〜！！！」
佐「ばか、あほ、っよかった…！！！」
ラウと佐久間はぼろぼろと涙をこぼしていて。
阿「ほんっっと……よかった……」
目「話聞いた時心臓止まった、マジで…」
宮「本当ね。…でもよかった、無事で」
阿部ちゃんとめめと舘さんは眉を寄せながらも安心した顔をしていて。
向「もーーーふっかさんのばか！！周りちゃんと見て歩けぇ！！」
渡「お前これ冬とかだったら死んでたぞほんとちゃんとして、マジで！！」
康二となべは割かし怒っていて。
まあ、けが人相手だから加減はしてくれているけど、治ったらまた改めて怒られそう。
そんなメンバーを見て、俺は謝罪の意味を込めて笑う。
それを見たメンバーはそれぞれの感情を抱きながらも笑ってくれた。
…そして、一番遠くからその様子を見ていた照を見る。
視線が合って、照はゆっくりと俺のそばに近寄ってきた。
岩「……ふっか」
「………ん、」
岩「……まあ、言いたいことは山ほどあるけど」
「…ふ、…やま、だけに、？」
岩「お前はさあ…ったく(笑)」
俺が小さく冗談を言うと、強ばっていた照の顔は緩んでいった。
そうそう、お前はそっちの顔のほうが可愛くて好きだよ。
ああ、そうだ、これだけはちゃんと照に伝えなきゃ。
「ひか、？」
岩「ん？」
「…ぁり、がと、…なまえ、」
岩「名前？」
「ん、なまえ、」
＿＿俺の名前、たくさん呼んでくれて、ありがとね。
ゆっくりとそう伝えると、照は俺の手を握ってこう言った。
「…ふっかも、俺の名前、たくさん呼んでくれてありがとう。」
＿照は、泣きながら笑っていた。
完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 681人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
香さん - しょっぴーのだてさんの呼び方を良太にするともっといいと思います (12月2日 20時) (
レス) @page22 id: 5b7efd0466 (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - みりぃ（緑璃）さん» ご感想ありがとうございます…！励みになります(_ _)今後も精進して参りますのでよろしくお願いいたします！ (2022年12月22日 20時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
みりぃ（緑璃）(プロフ) - テンポのいい文章が読んでてとても心地良いです。これからも更新を楽しみにしてます (2022年12月22日 17時) (レス) @page44 id: e9c37a05cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さんかっけい | 作成日時：2022年12月4日 2時
