陸拾仇 ページ22
「わあぁ!無一郎くん、見て見て、あれ!おいしそう!」
「うん、そうだね。」
「わあ、あっちは綺麗な小物が売ってるよ!」
「ほんとだ。」
「この金平糖買っちゃおうかな…!」
「…」
無一郎くんと訪れた街は、いつにもまして全てが魅力的に見える。きっと、全て無一郎くんのおかげだ。ついつい、色々な場所に行きたくなってしまう。
そして、街に並ぶお店というお店を見て回る私に、少し呆れながらもついてきてくれる無一郎くん。
「もう、あんまりあちこち行ったら迷子になるよ。君本当に僕より歳上なの?」
「うっ、前も言われたよねこれ。」
これでも、私結構しっかりしてる方だったんだけどなあ。
いや、ほんとだよ?……遠い昔の話だけど。
「無一郎くんと居ると、甘えたくなっちゃうんだよね…。」
「っ!、そっか。」
ふと口にした言葉に、心なしか無一郎くんの表情が穏やかになった気がする。
ちょっとだけ。ほんのちょっとね。
やっぱり可愛いな…じゃなくて格好良いな。
彼のその些細な仕草一つ一つに胸が悲鳴を上げる。
しかし、改めて考えてみれば今日は私の行きたいところにばかり行ってしまっていたなと、思う。
重く、どんよりとした気持ちが体の奥深くから押し寄せてきた。
胸の奥がきゅっと掴まれたような感覚になる。
彼の優しさに甘えてばかりではいけない。
「さっきから、私の行きたいところばっか行っちゃってごめんね…次は、無一郎くんは行きたいところに行こう?」
「いや………僕はAが行きたいところに行きたい。」
「ぇぇっ、?何それ好き。」
無一郎くんのイケメンっぷりに目眩がした。
はいもう無一郎くん大好きです。死んでも絶対しがみついていきます…。
そして私は無一郎くんが眩しすぎてそのままバランスを崩してしまい、重心が後に傾き始めた。
いや、私無一郎くんが格好良すぎて倒れるの何回目よ。
大人しく重力に身を任せ、来たるべき衝撃に両目を瞑る。
…しかし、背中に走るはずの衝撃がない。
何故。
私は閉じた両目を恐る恐る開いた。
すると、
目の前に大きな青碧の瞳。
そして腰の近くには無一郎くんの片腕。
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美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時