陸拾捌 ページ21
待ち合わせの甘味処から少し移動して、街へ向かう。
右手は彼に包まれたままで、鼓動が手から彼に伝わってしまうのではないかと体が強張る。
「…緊張してるの?」
そう言って、顔を覗き込む彼に肩を揺らす。
「始めてだもんね、逢引。」
柔らかく微笑む無一郎くん。
唐突に来た天使顔に思わず目眩がした。
「好き。」
「…急だね。今の流れで好きって言う?会話しようよ。」
「しょうがないじゃんだって好きなんだもん。」
「いつもすぐ真っ赤になるくせに。それに、僕はAのこと愛してるけど。」
またこの美少年はそういうことをさらっといいのけてみせて!!
本当に私の心の臓をいくつ爆発させる気なんですか!
もう638個は爆発してますよ!
…ってことは無一郎くんに出会ってから2日に一回くらいのペースで爆発してる!?
「…また変なこと考えてる。」
そうして霞柱の強烈デコピンをまたもやくらった私。
あ、ちなみに無一郎くんがデコピンしたの、手繋いでない方の手ね?
「無一郎くん、私の額へこんでない?大丈夫?」
「うん、へこんでないよ。それにしても、前もくらってるんだからさっきのは避けれたでしょ。なんでよけなかったの。」
「えっ、だって無一郎くんに…」
触れてもらえるなら避けるよりも受けた方がメリットが大きいと判断したとか口が裂けても言えないわ。
「僕に、なに?」
手に汗が滲む。
なんとかこの場を切り抜けようと頭を回転させて辿り着いた答えは、
「いや、なんとなくデコピンを受けたい気分だったの!」
「…君の頭大丈夫かな。熱でもあるの?いや、いつもこれか。」
心外!!
「でもAが僕のこと、下の名前で呼んでくれるようになったから、もう満足。」
「っ!ふふっ、私も無一郎くんの隣に立ててるだけで幸せ。」
自然と視線が絡み、2人で目を細めた。
そのときの彼の表情は、凛々しくて、たくましくて。
でも、どこか十四歳を感じる、私にとって、この世でたった一つだけの「笑顔」という宝物だった。
※しばらく更新していなくてすみませんでした。新学期ばたばたしていまして…(雰囲気ぶちこわし)※
113人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時