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陸拾弐 ページ15

「宇髄さんッ、煉獄さんッ、私の時透くん探知れーだーが616m先に反応しましたっ!」
「は?」

目を点にしてぽかんとする宇髄さん。煉獄さんも笑顔のまま固まっている。
しかしそんなものはお構い無し。今は一刻も早く時透くんに会うことが私の使命だ。

「行ってきます!」
「お、おい!!どんだけ心配したと思ってんだ俺の心配返せ!…って、もういねえし」
「天泣!いきなり走るのは体に良くないぞ!」
「いやそこじゃねえだろっ!」



「時透くんッッッ!」

私が彼の名を呼ぶと、ぼーっと空を見上げていた瞳をこちらをむけてくれた。すると、無表情だった顔に驚きの色がさす。嗚呼、どんな表情も好きだ。

「えっ、」

次の瞬間、私は時透くんに体当たりし、じゃなくて、頭に手を回して抱きついた。その勢いで時透くんを押し倒してしまったが、頭は守ってたから大丈夫だよね?

人がいないことをいいことに、道のど真ん中で時透くんに抱きつき、泣きまくる私。

「うう…時透っ、くんっ、会いたかっ、た」

完全に時透くんの肩に顔を埋めているため、時透くんの表情は読み取れないが、彼はあやすように優しくゆっくりと私の背中を撫でてくれた。

「…僕も。」
「うわぁん、やっと時透くんに会えたぁ!」
「ふふっ、…今日はやけに積極的だね。」

という時透くんの声が聞こえ、はっとする。
いやまってほんとにそうだわ。私自分からこういうことする性格じゃなかったわ!つい興奮して抱きついちゃったけど!つ、ついでに押し倒しちゃったけど!

「あっ、ごごご、ごめん!!時透くんっ」

慌てて起き上がろうとするも、それを防がれ、時透くんに口付けをされる。
みるみる顔に熱が集まる。

「とっ、時透くん」
「先に仕掛けてきたのは君だからね。」

時透くんは相変わらず涼しい顔。

「う、うぅ」
「はいはいお二人さん、仲が良いのは構わねえがここ道のど真ん中だからな。」

わあ宇髄さん、いいところに。
もう時透くんの目が獲物を狙う狼のようになっている。助かった…

「宇髄さん…いいとこだったのに、なんで来たの?」
「お前なあ…時透がいない間コイツの愚痴聞いてたの俺だからな!?感謝しろよ時透!お前がいないとコイツ何もできねえんだよ、口を開けば時透、時透と…はぁっ」

宇髄さんは、溜息をついてやれやれ、という表情をしているが、ほんの一瞬、確実にこちらを向いてニヤリと口角をあげてみせた。

「ちょっと宇髄さんっ!?」

陸拾参→←陸拾壱



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美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時

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