陸拾 ページ13
甘味処を後にし、千雨の情報を頼りに、任務先へ足を運ぶ。
厚い雲の下、雨の香りが鼻をさした。
しばらくして任務先に到着し、集中して鬼の気配を探る。
…遠いけれど、南東の方向に、鬼の気配。
「行きますかっ」
強く地面を蹴り、鬼のもとへと急ぐ。
少しでも、鬼に命を奪われる人を少なくするために。
たどり着いた先は、薄暗い山の中。日光は届かないので、昼間でも警戒が必要だ。
そして周りに注意していると後ろの方に鬼の気配を感じた。
後ろを振り向くと、巨大な斧を手にする鬼の姿が目にうつった。空気が、揺れる。
「…女、此処で何をしている。」
「ふふっ、そうですね、少しばかりお散歩に。」
「我が縄張りを訪れてくるとは…良い度胸だな。だが、お前の命も今日までだ。」
と言い終わると、鬼は斧を振り上げ、こちらの方へ近づいてきた。
…気配からして、この鬼はそんなに強くない。
雨の呼吸 弐ノ型
相手の鬼の攻撃が出るよりも先に、己の刃を振るう。
できるだけ、苦しまないように。
「っ、!?く、頸を斬ら、れた?」
「…罪を償って、来世では幸せになってね。」
自らの手で命を奪ってしまった眼の前の鬼に、手を合わせる。
「嗚呼…、有り、が、とう…」
最期を迎え、涙をこぼすその鬼に微笑みを見せる。
一粒、二粒と雫が天から降ってきた。
まるで、涙のように。
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美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時