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その手に驚いてふと顔をあげればてつやはお兄ちゃんたちに向かって




「でも今は俺がいるんで、大丈夫ですよ。ね、A?」




そう言った後にじゃあ帰ろっか、と私の手を引いて帰るように促す





「あ、そうだね。もう遅いし、お兄ちゃんたち今日はありがとう、元気でね」


なるべく、平常心を保つようにと心の中で呟きながらお兄ちゃんと奥さんへそう言った。


口を開くことに緊張して手にグッと力を入れれば、繋がれたてつやの手も私の手を少しだけ強く握り返した



「あぁそうだな、気を遣わせて悪いね。てつやくん、妹をよろしく頼むね」




じゃあ、と別れの挨拶を済ませて、てつやの車に乗り込む




「後ろ乗りな、寝たほうがきっといいでしょ」




言われたとおり後部座席に乗りこめばすぐにてつやは車を走らせた。




私もてつやも何も話はしない、静かな車内。

ただ、さっきの話をてつやに聞かれてしまったという事実があって息がつまる。



引かれたかな、なんて言ったってあの時のことは身内以外は知らない。


たかが男に捨てられだけで半狂乱になっていた女、なんてめんどくさいしきっと気持ち悪い


マイナスなイメージだけが頭をぐるぐるする


そんな時だった



「具合…大丈夫?」



てつやが心配そうにおそるおそる私に話しかけてくれた




「大丈夫、ありがとう」



合わせる顔がなくて下に俯く私。




「深くは聞かないけどさ」





「昔Aが辛い思いしたのはなんとなくわかったけどさ」





「今は俺がいるから。そのー…なんていうか、頼ってよ」





その言葉に顔をあげればルームミラーには優しく微笑むてつやの目が写っていた




「ありがとう…」




そう囁くと、うん。と言ってそのまままた静かな車内に戻る。




でもその車内はさっきの息が詰まった空気とは対照に、優しくて、居心地がいい車内に変わっていた



気づけばてつやも鼻歌を歌ってるし、下手くそ





家について、車を降りて玄関のドアを開けようとしたらポンポンっといつものごとく頭を撫でられた





その手の暖かさは今までで1番私を安心させてくれた




「ありがとう、」


そう呟くと


「何がー?」


とまたおちゃらけた貴方に戻る



何回この優しさに救われたんだろう。私は。

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(プロフ) - 「」の前に名前つけてくれると読みやすいです!お話はすごくよくて大好きです!東海オンエアも、もっと好きになりました!! (2018年4月26日 12時) (レス) id: b9e4ac9f31 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - とても面白いです(⊃-^)ホロリン こんなに話も文も書けるとか本当にすごいです。(T_T) (2018年2月26日 18時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
oss.2(プロフ) - さこさん» こんばんは、返信が遅れてしまい申し訳ありません(;_;) コメントありがとうございます。どうしても主人公を3人すべてと結ばせたかったので無理やりそうしてしまいました(;_;)ありがとうございます、更新頑張ります (2017年8月21日 22時) (レス) id: e9a15ad6af (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - こんばんは☆誰落ちになるんだろう…///とドキドキしながら、拝見してましたが…まさかの3パターン落ちになるとは…(*≧∀≦*)これからも更新楽しみにしてます☆ (2017年8月20日 21時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
oss.2(プロフ) - さこさん» コメントありがとうございます。こんな駄作・駄文を読んでいただいているなんて本当に感謝感激です。なるべく更新頻度は崩さないように頑張りますのでよろしくお願いします(;o;) (2017年8月15日 15時) (レス) id: e9a15ad6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:oss_2 | 作成日時:2017年8月12日 2時

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