au car ? 【東海オンエア】

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「あー、あれ撮影されたの結構前ね、私が海外に行くって決める前だったし」




そう言いながら冷蔵庫を漁るA




「あの時は居たよ、婚約者」




「…あの時は、ってことは今は居ないってこと？」




「そ、破棄されちゃった」




悲しいことのはずなのに、笑う君。でもその笑顔は顔に貼られたお面のような作られた笑顔だった




「そっか…聞いてごめんね」




「いや謝らないで、私が話してなかったのが悪いんだから」




ね？と言いながら手を止めずにたんたんと玉ねぎを切っていく。

話している間も絶対に俺らの方には顔を上げない。





２人の会話をかける言葉が見つからずに呆然と立ちながら聞いてる俺は馬鹿かっこ悪い。





「ちょっとざわくーーーん」



上の階からてつやがざわくんを呼ぶ声が聞こえてざわくんは「本当野暮なこと聞いてごめんね、」と言い残して上がって言った





再びAの顔を見ればさっきの作り笑いは消えてて、涙をポロポロ流すAをみて





「A…？」

と名前を呼ぶ俺。





「玉ねぎしみるわ〜、としみつくんティッシュ欲しい」




なんてごまかす君。



涙が玉ねぎのせいじゃないのはわかってるよ、だってついこの前に玉ねぎ切ってた時涙出ないんだって俺に自慢してきてたんだから




ティッシュでAの涙を拭ってあげると小声で「内緒ね、ごめんね」、って言うAの顔をみて





なんでこんなにも俺の胸が痛むんだろう。





「泣いていい」





「え？」





「俺の前では強がらないで泣いていいから。」





こんな臭いセリフしか言えない。





それに加えてだからおいで、なんて君を抱き寄せることができない俺はまだまだ恋愛童貞だ、ほんとに。

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