伊之助さんにちゃんと伝えた日 ページ47
目が覚めた時
一番最初に視界に映ったのは伊之助さんの顔だった
ああ私、あの後意識を失って
伊之助さんの涙、初めて見たな
どれだけ心配をかけたのだろう
『 伊之助さん? 』
「 いいかよく聞け 」
猪頭を被っていないから表情がよく分かる
整ったその顔が、とても真剣な目付きをするから
どきん、と高鳴る胸
「 俺は、お前のことがすきだ 」
二人だけの空間に、伊之助さんの低く通った、男らしいその声だけが響いた
まるで、時が止まったよう
まだ寝ているのかと錯覚するくらい、夢のような
『 …ぇ 』
「 俺は、お前といると心臓がドキドキうるせぇんだ
キュンってしてこの辺が苦しくなったり、
お前が誰か他の野郎といるとモヤモヤしたりムカムカしたりする 」
真っ直ぐな視線と真っ直ぐなその言葉
私の心にストン、と入る
「 これが恋っつーやつだって、教わったぜ 」
『 い、いのすけさ… 』
「 だから俺は、お前が好きだ 」
ああなんて、素直で純粋な言葉なのだろう
不器用な彼が伝えてくれたその気持ち
自分の心臓の音で、周りの音が聞こえないくらいに高鳴っている
まさか、伊之助さんから好きと言われる日が来るなんて。
『 伊之助、さん 』
「 …何だよ 」
『 私、私も…
貴方のこと、伊之助さんの事が好き、です 』
恥ずかしいけれど、彼が目を逸らさないから私も真っ直ぐ見つめる
届いて、私の想い
「 …知ってるぜ 」
『 ……へ、し、知ってる? 』
「 お前、俺にスキって言うだけ言って意識失いやがって!! 」
『 えっ 』
う、嘘
私、もしかして
無意識下で伝えてしまっていた…!?
『 あ、あの時…ッ 』
「 俺もお前にスキって言うつもりだったのに、ずっと目ェ覚まさねぇから 」
『 そ、そうだったんですか… 』
あんな状況で思わず言っちゃってたなんて…!!
『 もっとちゃんと伝えたかったです 』
「 はぁ? 今言っただろちゃんと 」
『 で、でも無意識で言っちゃうなんて…ッ 』
「 別にいいだろ 」
『 良くないです!!
恥ずかしいし、やっぱり告白ってちゃんと伝えたいというか…ッ 』
ああもう私の馬鹿!! なんて一人で嘆く
「 あーもう、ごちゃごちゃうるせェな!! 」
『 なッ、うるさいって何で…
ッ、』
…え?
ぐっと、後頭部を引き寄せられて
待って、何で
唇が触れ合っている
『 ん、ッ
い、の、』
「 結果的にスキって分かったんだからいーだろ 」
離れた唇に、まだ感触が残っている
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しゃび(プロフ) - 羅門茶.さん» コメントありがとうございます。一気読みしていただけて嬉しいです!伊之助が大好きなのでその気持ちを爆発させて書いた小説なので個人的にも思い入れの深い作品になっています。嬉しいお言葉もありがとうございます! (2020年6月1日 22時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
羅門茶.(プロフ) - 素晴らしい作品で一気読みしてしまいました(T ^ T)この作品大好きです、、 (2020年5月23日 15時) (レス) id: efacd8ff92 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - Znさん» コメントありがとうございます。恋愛に対して不器用で可愛らしい伊之助を書きたかったのでそう言って頂けて嬉しいです...!嬉しいお言葉ばかりありがとうございます。他の作品も拙いものばかりですが少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年3月10日 10時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
Zn(プロフ) - 本当に素晴らしい作品に出会いました!!もう毎話毎話伊之助の可愛さに震えてました、、他の小説も読んで見ようと思います。 (2020年3月8日 21時) (レス) id: 5d97af5082 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - 饅頭さん» コメントありがとうございます。神だなんて勿体ないお言葉ありがとうございます...!思い出深い作品なのでそう言っていただけてとても嬉しく思います。完結してる作品ですが、暇な時にでも読み返して貰えたら幸いです! (2020年3月2日 11時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃび | 作成日時:2020年2月7日 18時