チビデカちゃんのDOUTEI喪失日記

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「コン ドームだ。」



何人もの容疑者を落としてきた俺の眼力とポーカーフェイス。
努めて冷静に、目の前の女を見据えて言い放った。



「あの……」

「何だ？早くしろ。」

「向かいのコンビニへどうぞ……」




「は!?」




「調剤薬局では、そういったもののお取り扱いはございません。」


な、なんだと!?


カッと熱が上がって顔が熱くなる。
目の前の白衣女のぬるい眼差し。

そんな目で見るなっ!!!


「し、失礼するっ!!!」


何故だ……
何故、売っていない。

調剤薬局とは、医師によって患者の病気の治療に必要な薬の種類や量、服用法が記載された書類─処方箋を見ながら薬を調剤する薬局のはずだ。
薬剤師が処方箋の内容が適正であるか確認をし調剤する、患者の薬治療を行う上で重要な役割を担っている薬局とも言える。
医師と薬剤師というそれぞれの分野の専門家が、患者をサポートすること、それが医薬分業と呼ばれる日本の医療の仕組みだ。
処方箋はこの仕組みに欠かせない大切な文書。

つまりは、医師の診断と薬剤師の処方という双方の観点から"必要である"と判断された薬のみが調剤薬局に置いてあると考えられる。
ならば、何故そこにコン ドームは存在しないのだ？

今のご時世、婚前交渉が当たり前の世の中で性病は最も危惧すべき案件だ。
にもかかわらず、この国はそこに対しての危機感が薄い。
"謹み深く"などと言われた大和撫子は既に形骸化し、代わりに台頭した現代のアマゾネスは隠匿を覚えた。
まぁ……物事が多様化する現代社会において、性に対するモラルを説いたところで何の役にも立たないが。
それでも初めて会った女にノーヘル乗車など出来る訳がない。

であるならば、やはり『この方と婚前交渉します』と宣言をし、その上で調剤薬局にてヘルメット(コン ドーム)を処方してもらうべきではないか。
それこそが、この乱れた世の中を正す唯一の方法のように思うのに。


それが、コンビニで買えるだと!?

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