チビデカちゃんのDOUTEI喪失日記

Diary 2 ページ4

.




俺は街へと出ていた。

日記を書き記すのは朝と決めている。
今朝も朝陽の差し込む部屋のスタイリッシュなデスクで、ピンクのハート柄の赤いノートに決意を記した。
もちろん、デスクの引き出しの鍵も忘れない。

胸元で揺れる鍵は、俺の童貞卒業への鍵に違いない。




────────────
○月△日 曇り夕方にわか雨(予報)

女と事を致す時に必要なものを買いに行くことにする。
里見にバカにされるなんて我慢ならない。

いつ何時、そういうことになるかはわからないから。
俺は予習復習は欠かさないタチだ。


何事も勉強だ俺と、俺のオレ。


にょほほ〜

────────────



俺は今、非常に悩んでいる。

そもそもコン ドームとは何処で買えるものなのだ？
とりあえず、隣にいた里見に聞いてみるか？



「里見。」

「はい。」



相変わらずのとぼけた顔だ。
しかも、見下ろしやがって。



「お前……こ、こ、……」

「こ？」

「こ、こんどドームに行かないかっ、？」



い、言えねぇ……。



「は？ドーム？野球ですか？」

「そ、そうだよっ」

「俺と？速水さんが？」

「…………。」

「………………まぁ、機会があれば…………。」



だよな。
俺だってお前と野球なんて行きたかねぇよ。
野球どころか、近所の薬局にだってお前とは行かねぇ。

薬局……？

!?

そうか、薬局かっ!!!


さすが俺。
冴えてるんじゃね？


そんなやり取りを経て、俺はあまり知らない薬局へとやってきた。
こじんまりとした薬局で、自動ドアが開くと向かって左は壁に添って柔らかい緑のソファ。
右側はカウンターになっている。
カウンターの奥はいくつもの引き出しを備えたチェストに白衣を着た人々が動き回っていた。
その中の一人、歳上っぽい女が俺に気が付いた。



「いらっしゃいませ。」

「あの……」

「はい？」









「コ、コ、コン ドームくださいっ、！」









言ったーーっ!!!

言ったぞ俺っ!!!




「─────……は？」




は!?ってお前、二度も言わす気か!?
俺は滑舌は悪くない。
聞こえなかったはずはないのだ。


はっ！これは、そういうプレイってヤツか！


これはあれだろ？
聞こえなかったふりをして何度も言わせて辱しめるという高等テクだろ？
俺はそういうのが好きなように見えるというのか。

なめるなよ。

そんなものに俺は振り回されたりしない。

※→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す