チビデカちゃんのDOUTEI喪失日記

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膝の上に掛けた上着の中で、上下に動く手。ラストのえろシーンの盛り上がりで、俺はすっかり興奮状態に。

そして、スクリーンにエンドロールが流れ始めた瞬間





どぴゅっ――



「……うっ」





俺としたことが、体験したことの無いあまりの気持ち良さに、放つ時、何故か思いっきり立ち上がってしまった。




「いきなりどうしたんですか？」

「はっ！？」



まずい、まずい、まずい！何してんだ俺っ！


あさみんが、訝し気に俺の事を見上げている。わかりやすくそんな白い目で俺を見るんじゃないっ！




「あの……もしかして、スタンディング・オベーションですか？」

「すっ、スタンディング・マスタベーション！？おっ、俺が、こんなところでそんな破廉恥な事をするはずがないだろっ！」




何を言ってるんだこいつは！変態か！？
あさみんが笑いを堪えているのがわかる。




「何が可笑しい？」

「いえ、俺はスタンディング・オベーションって、言ったんですけど？」






「……」

「えっ？ミニマム、まさか……マスタ、」




「そっ、そうだ！俺は感動したんだ！」



それを言われたらもう、拍手するしかない……。くっそー悪目立ちじゃねぇーか！


俺は立ったまま、ついでに俺のオレもまだちょこっとだけ勃ったたま、思いっきり周りからぬるい目で見られながらも、スクリーンに向かって拍手していた。









深夜の帰り道、今日の映画が頭から離れない。



ああやればいいんだな……。色々あったが今日は勉強になった。

あの松坂梅李という俳優は里見に似ていた。間違えて里見に色々訊いてしまいそうだ。





それにしてもあさみんのヤツ、俺の事をミニマムなんて呼びやがって！もうアイツには二度と会いたくない！





どっと疲れたが、得るものも大きかった。きっと今日は目がギンギンに(そしてアレはビンビンに)冴えて眠れないだろう。



再び『毛挟み事変』が起こらないようにするにはどうしたらいいのか？



暗がりでは、やはり冷静になるしかないだろう……今後は、素早く装着しても絶対に挟まないように訓練をする必要があるな。


俺は改めて、日ごろの予習復習の大切さを知った。






使う相手いないけどね。









※ スタンディング・オベーションとは「立ち上がってする拍手や喝采を送る行為」となります。素晴らしい演奏や演技、素晴らしいプレイ、感動的な行動などに対して最大級の賛辞として行われます。

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