チビデカちゃんのDOUTEI喪失日記

Diary１ ページ1

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俺の名前は速水翔。

今年で三十歳になった、桜中央署の刑事課所属の刑事だ。



容姿端麗、頭脳明晰、センスも良しっ、男としての野心もある！そんな完璧人間の俺だけれど、俺にはたった二つだけコンプレックスがあった。

俺にコンプレックス？いや、違うな。ここは、チャームポイントと言っておこう。




一つ目は背が低い事。

ライバルの里見や猪熊たちが、陰で俺を”チビデカ”と呼んでいるのは知っている。
俺がチビなんじゃない、里見がアホみたいにデカすぎるんだ。



そして、二つ目は……

俺が童貞だっていうことだ。

つまりだな、女といたしたことがない。
なんならつきあったこともない。

はっきり言うと、彼女いない歴三十年だっ！

嗚呼……興奮しすぎてゼーゼーしてきたっ。








思えば、子供の頃から勉強ばかりの日々だった。

中高一貫の進学校に合格し、中高生時代はサッカーと勉強に明け暮れていた。

男子校だったこともあり、女子と知り合うチャンスもなかったんだから仕方がない。これは俺のせいじゃない。

大学時代も全然遊んでこなかった。周りからは、融通のきかない面倒なヤツと思われているのも知っていた。元々、根が真面目なんだよ俺は。


けれど、今となっては……

何故もっと女と遊んでこなかったのか、彼女も作らなかったのか、激しく後悔している。





俺は、自室の机の上に広げた、真新しいピンクのハート柄の赤いノートを見つめた。


三十歳の誕生日を機に、こうやって日記をつけ始める決心をしたことはもちろん誰にも内緒。

これは、俺が童貞を喪失するまでの記録だ。



俺は何でも分析して、記録を残しておきたいタイプの人間だ。後の反省材料にもなるし……ってわけで。


これから書き綴ることとする。









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