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(こんなの、ズルい)
顔が熱くなる。
出会った日からそう間を置かず、潤から口説かれ始めてもう数か月。
どうして私を？という気持ちがいつまでも消えずに、あと一歩足を踏み出せなかったけれど。
(こんなの、もう、無理だよ)
真っ直ぐ過ぎる思いを捻じ曲げてたのは、A自身だったのだとしたら。
「‥‥戻るか」
俯いてしまった彼女に何かを察したのか、優しく囁くとその肩を抱いて潤はフロアを後にする。
バーカウンターに戻ってくるとAをスツールに座らせ、潤はその隣に立ってもう一度ぎゅうっと抱きしめてきた。
「A、連絡先教えて」
「‥ん」
「次来るとき、連絡すっから‥‥なんも無くても連絡するから、だから」
抱きしめられたまま、ちょうど潤の胸の下辺りに顔を埋めているからその鼓動が嫌と言うほどAの耳に届く。
力強く、そして速いその音に、引きずられるように自分の鼓動がまた高まるのを感じる。
「返事は今度聞かせて」
「じゅ、」
「今答えられると、俺この後仕事になんねぇから」
それがイエスでもノーでも。
そう言って体を離す潤はAの頬に指を滑らす。
「嘘なんかねぇよ、Aだけが欲しい」
見つめ合う瞳が互いに切なくて、言葉が無くても気持ちは通じ合っているような気さえする。
あの夜のように頬に触れるだけのキスをすると、スマホで時間を確認した潤が「やべ」と呟く。
その様子に本当に仕事を抜けてきたのかとAは申し訳なさを覚えてしまう。けれど、そんなことお見通しとでも言うように潤が笑った。
「俺が今しかねぇって思って来たんだ」
「潤」
「また、連絡する」
「うん、今日はありがとう」
「こっちこそ。送ってけなくてごめん、タクシーで帰れよ」
「わかった。また、ね」
「おう！」
また、の約束に嬉しそうに頷いてご機嫌な背中が足早に遠くなる。
外へ続く階段の手前で振り返って、もう一度手を振る彼に控えめに手を振り返して、完全にその姿が見えなくなってからAは小さく息を吐いた。
「雅紀君」
「ん？ どお！？ ナイスアシストだっただろー！？」
「急転直下過ぎて自分の気持ちについていけない」
「きゅーてん？ わかんないけど、付き合うことになったの？」
「ん、うん？ どうだろう、それはまた次なのかな」
「えぇ！？ なにそれ！ でもま、お幸せに、だ！」
「‥ありがと」
あっけらかんとした言葉にAは小さく笑った。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ありがとうございます！って、ゆぃさんまで何を仰る！(笑)私ニューヨーク行ったことないので‥‥(笑)でもタイムズ・スクエア前に立たせるだけで絵になる潤くんですよね、それを見たいです(笑) (2021年9月28日 11時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 完結お疲れ様でした~ NY編…いいです~♪ (2021年9月27日 13時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - さちこさん» さちこさんコメントありがとうございます！ほんっと格好いいですよね見事に落ちました(笑)全曲は流石に書けませんでした、そこまでネタが思いつかなくて‥。えっ、NY番外編っ！？えっそんなそんな(笑)でも少し妄想しちゃいました、タイムズスクエアの二人ですね成程！ (2021年9月25日 21時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
さちこ(プロフ) - お塩さん、完結おめでとうございます！こちらのお話も大好きです♪untitled、ほんとカッコいいですよねぇ…全曲のお話書かれるのかと勝手に思ってたので、完結って見て「えぇ( ﾟДﾟ)」ってなっちゃいました(笑) NY番外編、気が向いたらお願いします(笑) (2021年9月25日 8時) (レス) id: 037683b6b9 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん返事遅くなってすみません！！ 同僚はものの見事に当てウマですほんとすみませんって気分になりつつ、あれはもう潤くんのイケイケ具合を楽しんで頂ければオッケーです！！ ね、どう思ったんでしょうかね‥(笑) (2021年8月28日 2時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月11日 4時
