Re；互いが推しの推しだった件についてー２ー【緑】 (ページ11)

今日:32 hit、昨日:169 hit、合計:46,699 hit

OFFー放送後(緑side)ーページ11

・

『阿部ちゃん、今日に限って聞いてたんですか？』(笑)

阿「ふふふ、まぁね」(微笑)

噓です。
ミラージュのファンなのには変わりないから、毎週楽しく聞かせてもらってるよ。とは本人に言えないよね～…

『これが壁に耳あり障子に目あり…』

昨日会えたのは、本当に偶然だった。
確かにパッと見Aちゃんだって分かんなかったし、声も違った。けどなんだか引っかかってカマかけてみればこの通り。俺の直感が正しかったみたい。

阿「ドンマイ」(笑)

『その原因は阿部ちゃんなんですけども…」(笑)

若干困ったように笑うAちゃんを思い浮かべながら、俺は座っていたソファーの背にもたれかかる。

阿「…昨日も言ったけど、ライブ、頑張ってください」

「ふふふ」(笑)
「私のファンにしてやりますよ」

もうファンなんだよ、って言ったらどんな反応するんだろ。
多分喜んではくれるけど、少し困ったように笑って、自分だけじゃなくて俺達のファンのことについても考えるんだろうな。だって彼女は正に“完璧なアイドル”なのだから。

阿「それは楽しみだ」(笑)

「では、また」

阿「はい。夜遅くにありがとうございました」

通話の切れたスマホを見つめながら、余韻に浸る。
俺達は、同業で、一方的ながら推しとファン。
それでも、彼女をアイドルにした人物を羨ましく思い、彼女を本当に幸せそうにできるその人物に嫉妬するぐらいには彼女に惹かれていて、好きで、愛しい。

今はまだ、ファンより距離の近いこの距離で彼女と笑っていたいと思うのは、強欲なのだろうか。