Catch me -4- ページ18
Catch me -4-
「なぁ、李々。」
章ちゃんの家で部屋の片付けをしていると、突然章ちゃんから声をかけられた。
「…大倉と何かあったん?」
たぶん、聞かれると思った。
「…なんで?」
私は片付ける手をやめずにそう答える。
「だって、会っても話してへんし、目を合わせてへんし。」
何かあったん、と章ちゃんはまた聞いた。
「…何もないよ。」
きっと、他のメンバーも気付いているはずだ。
私と忠義に何かあったと。
敢えてそれを言わなかったのか、それとも章ちゃんに聞くように仕向けたのか、分からないけど。
「斗真くんとのこと、何か言われたん?」
核心をつくその問いに私は思わず手を止めてしまった。
「…俺のせいやんな。」
「章ちゃんのせいなんかじゃないよ。」
私は思わず振り返ると章ちゃんは困ってように笑った。
「…ごめんな。」
「謝らないで。」
私は章ちゃんの手を握った。
「いいの、もう。」
私がそう言った後、私の携帯が鳴った。
ディスプレイには大倉忠義の文字。
「…出えへんの?」
電話に出ない私を不審に思った章ちゃんが画面を覗き込むと、今度は章ちゃんに手を握られた。
「俺は、李々にも、大倉にも、笑っていてほしい。」
李々、少し低い声で呼ばれる。
「このままでええの?」
私が章ちゃんを見つめると、章ちゃんは力強く頷いた。
「…もしもし、」
「李々…、」
久しぶりに聞く忠義の声に携帯を持つ手に力が入る。
「今から会えへん?」
ーCatch me
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章ちゃんの部屋の掃除は李々ちゃんの仕事。
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作者名:しゃち | 作成日時:2016年10月26日 12時